第三章 [ 花 鳥 風 月 ]
四十四話 巡り会し者
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「……止めておくれよ恐ろしい」
虚空の能天気な発言に神奈子は自らの身体を抱きしめながら軽く身震いする仕草をした。もし虚空と天照が諍いを起こせば間違い無く神奈子が板挟みに遭うのだ、本人にしてみればたまったものじゃない。
「行きたくないな〜」
「拒否権無しって書かれているだろう、駄々捏ねてるんじゃないよ!」
やる気無く畳に寝転がる虚空を神奈子は一喝し虚空の襟を掴むと引きずりながら部屋の入り口に向かう。
「そういう訳だから後の事は頼んだよ二人共。諏訪子が帰ってきたら説明しておいておくれ。後は……何時帰れるか分からないから神社の事は任せるよ、とね」
部屋を入り口で神奈子は綺羅と天魔にそう言付けると二人は律儀に神奈子に向き直り了解の意を示すように頭を下げる。
それを確認すると神奈子は未だにブツブツと文句を口にしている虚空を引きずり部屋を後にした。
□ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■
雲一つ無い青空が広がる空間に突如不思議な黒い線が走りそしてその黒は楕円形に広がり奥に見える摩訶不思議な色合いを見せる空間から虚空と神奈子と紫が姿を現した。
三人の視線の先には七枷の郷よりも広大で見る者に只ならぬ威厳を与える都が存在している。
天照が祀られている伊勢神宮が建つ大和の本拠の都である。目視できるほどの強力な対魔結界が折り重なるように四層に張られており並みの妖怪など触れる所か近づくだけで消し飛ばされてしまうだろう。
移動時間短縮の為に神奈子は紫にスキマで送ってもらう事を頼んだがスキマを開くのは伊勢の都から離れた場所を指定していた。
頼まれた本人である紫は何故離れた所に開かなければならないのか不思議に思っていたが実際に自信の目で確認した時神奈子の配慮の理由を理解した。もしあの中にスキマを開いていたらどうなっていたのか想像したくない。
「初めて来たけど……なんか堅ッ苦しいそうな所だね」
「堅苦しいのは当たり前だよ、何て言ったって天照様のお膝元なんだからね」
見ただけで都の雰囲気を察した発言をする虚空に神奈子が呆れ半分で答えた。見ただけでそう感じるのだから中に入ればどれ程だと言うのか。
「まぁ此処まで来てウダウダ言っても仕方ないし…行こうか神奈子。あぁそれから紫――――」
「?何かしらお父様?」
虚空に唐突に呼ばれ頭の上に疑問符を浮かべる紫に、
「僕が居ないからって寂しくて夜鳴きしちゃ駄目だよ」
真面目な顔でそう言い放つ虚空。その言葉に神奈子は笑いを堪え紫は呆れた表情をしながら半眼で虚空に視線を向ける。
「……お父様……私の事をどれだけ子供扱いしているのかしら?」
静かにそして若
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