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東方虚空伝
第三章   [ 花 鳥 風 月 ]
四十四話 巡り会し者
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違和感を覚える。正直咎められ馬鹿にされるものだとばかり思っていたのだ。こいつは本当に何を考えているのか?萃香の疑念は募るばかりだ。

「……百鬼丸……あんた一体何を―――」

「さっきも言っただろうが――――テメーにゃ関係ねーよ、分かったらとっとと戻れ」

 何もいう事は無い、萃香に言葉と態度でそう示し百鬼丸は椅子に頬杖をつきその目を閉じる。萃香は歯噛みしながら再び霧となって空間に散っていった。
 萃香の気配が消えたのを確認した百鬼丸は閉じていた目をゆっくりと開く。

「……ふんくだらねー、神も妖怪も人間も―――――はははッ!あと少しだ、あと少しで全てがこの俺に屈服する!全てを超越した俺が支配する世界が!はははッ!はーーーははははははッ!!」

 広大な石の空間に百鬼丸の嗤い声が幾重にも反響していた。




□   ■   □   ■   □   ■   □   ■   □   ■




 七枷神社の居間で虚空、綺羅、天魔の三人が机に並べられている書類の山と格闘していた。書類の中身は柳杉屋と繋がっていた各種の組織・個人の情報やその他の人妖売買・禁品取引等を行っていた者達の取調べ報告書と百鬼丸の本拠地調査の報告書だった。

「あ〜〜〜進展無しか〜〜〜」

 そんな声を上げながら虚空は畳へと大の字に転がりそれを見ている綺羅と天魔は苦笑いを浮かべている。
 殿朗の確保から一週間が過ぎるがそれ以降有力な情報が入ってこなくなっている。百鬼丸の勢力もなりを潜めしまい足取りどころか手掛かりすら発見できていない、手詰まり状態だ。
 
「この地方から手を引いて移動した可能性もありますよね?」

「…多分無いね」

 綺羅の言う通り本拠を移動した可能性もあるが虚空はそれを否定する。

「何故です?盟主殿?」

 虚空の発言に天魔も疑問を感じたらしく読んでいた書類から目を離し虚空にそう問いかけた。

「百鬼丸が熊襲と手を組んでいるとしたら大和の本拠地の伊勢(今の三重県)からそんなに離れる事はしないと思うんだよ」

 虚空の言う事はあくまでも勘だ。しかし今持っている情報から推測出来る中でもっとも可能性がある。しかし可能性があるとしても捜索範囲が絞れなければどうしようもない。

「なるほど、奴等の本拠が結界などで隠されている可能性もありますしね」

 虚空の言葉に納得した天魔が自身の憶測を口にするがそれを聞いた綺羅が渋面になり頭を下げる。

「結界が張られているのならそれは僕が造った結果石を使っている可能性が高いです。それなら僕の責任に――――」

「はいそこまで。そんな事言い出したらきりがないよ」

 囚われている時に結果石を幾つか造らされたのだろう、責任を感じるのは理解できるが
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