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夏の始まり、七夕フェイズ 魏
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るみる内に削り取っていく。
 天和さん達が器を並べて、大きなレンゲでそれを盛って行った。
 次に並べられたのは幾つかの瓶。色とりどりの液体が一つ一つに入っていた。

「お見事。ふんわりのモノと荒いモノを分けてくれるとは、さすが店長」

 大道芸のような店長さんのその技に、皆見惚れていた。やはり店長さんは刃物の扱いも凄かったらしい。

「それはなんなのかしら?」
「夏の風物詩、かき氷だ。一気に掻き込んだら……クク、幸せな気分に浸れる」

 そのいじわるな笑みを私と月ちゃんと詠ちゃんは知ってる。
 反対の事を言ってる時にしかしないモノだ。つまり、これは急いで食べてはいけないモノという事。
 後で皆にどやされるはずなのに、悪戯したくてしょうがないみたいだ。
 さすがに華琳様は気付いたみたいで、私達三人に向かって黙っておきなさいと、楽しそうに目で合図していた。

「さ、お好みのシロップを掛けて食べてみてくれ。右からイチゴ、ミカン、蜂蜜、砂糖水、リンゴ、抹茶だ。ちなみに抹茶は餡子との相性がいいから餡子も置いてある」

 一掬いして抹茶のしろっぷを氷に掛けた秋斗さんの様子を見て、皆はそれぞれ手に取って好みの味を掛けて行く。
 中々楽しい。自分好みの味を選べるというのはいい。
 私はふんわりした氷にイチゴを掛けた。きらきらと光る氷に赤い色が掛かっていて、何処か不思議な感じだった。

「行き渡ったな? じゃあ……華琳」
「ええ……まずは店長に感謝を。このバカの思いつきにいつも付き合ってくれてありがとう」
「いえいえ、楽しい食事こそが大事なのです。皆さんに楽しんでいただければ私も満足でしてね」
「ふふ、またよろしく頼むわ。では皆、夏の始まりに……仲を引き裂かれた二つの星が幸せな夜を過ごせる事を願ってあげなさい。そして私達は幸せな、この平穏な時間をこれからも天に示して行きましょう。では……頂きましょう」

 頂きます、と幾つも声が聞こえて、皆がすぷーんで氷をしゃくしゃくと口に入れて行く。秋斗さんの言葉通りに、ほとんどの人が掻き込んでいた。
 私は一口だけ食べる。冷たくておいしい。ほんのりと優しいイチゴの味が冷たい氷に染み込んで抜群だった。思わず顔が綻んでしまう。

「……っ!」
「ぐはっ、なんやこれぇ!?」
「あ……くぅ……」

 ところどころでうめき声が上がる。
 声を上げた人達は皆、頭を抑えていた。
 秋斗さんは笑いを必死で堪えていた。

「ちぃも騙されたけど、秋斗って性格悪いよね」
「クク、経験してるのに止めないお前も大概だけどな」
「うーん、私はあのキーンってなるの結構好きだけどなぁ」
「姉さんって……」

 三姉妹と楽しそうに話す彼は、悪戯が成功した事に大喜びの様子。
 ホント、子
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