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夏の始まり、七夕フェイズ 魏
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琳や月が色恋に溺れて我欲の為に堕落したら……民はどう思うだろうな」
「そんな事起こるわけないだろう!?」
「だからありえない話だよ春蘭。まあ、俺も想像できないからさ、劉備や孫策でもいいや。他の国の王が色恋に溺れて、職務を怠慢にしていたらどう思う?」

 言われて皆が思考に潜り出す。真っ先に苦笑を漏らしたのは華琳様。

「ふふ、厳罰を与えるわ。それこそ首が飛ぶ事も有り得るでしょう。物語の二人は完全に会えなくされても文句は言えないのだからまだ甘い程よ」
「華琳姉さまの言う通りです。しかしお話の人達はただの後継ですから、後の働きによって考えてもいいですね」

 月ちゃんも合わせて答えて、皆は聞き入っていく。

「そのようなモノに平穏など作れない。国と民と、今まで繋いだ想いの為に。
 私達は多くのモノを犠牲にしてきた。欲しいモノを手に入れる事に全力は尽くすに決まってる。それでも……世界か一人かを選ぶしかないとなったなら、皆が望んだ悠久の平穏を選ばずして何が王か」

 華琳様の言葉でビシリと張りつめた。
 二人の想いは、これまでにあった事柄からぶれる事は無い。
 会える日を楽しみにして仕事を頑張れる、物語の二人の気持ちも理解出来る。
 失ったモノがあったから、無くしたモノがあったから、彼女達はそれの意味を知っている。
 でも比べぶるべくもない。色恋を選ぶ時点で私達が想いを馳せた、悠久の平穏を作らんとする覇王では無い。
 何処か華琳様の作る世界を肯定しているような物語に思えた。
 そして彼がいるから、彼女達はもう……王であり、一人の女の子になれた。

「難しい話になっちまったが、そうさな。ま、そんな感じで、相応の罰だったんだろうよ。これは悲恋モノでもあるけど、一種の教訓みたいな物語なんだろ。怠ける事なかれ、例え愛しいモノと結ばれようと堕落せず、自身を律せよ……なんてな。全ての事柄に当てはまるかもしれん……なあ、沙和、真桜」

 にやりと笑った秋斗さんに呼ばれて、ギクリと肩を跳ねさせた二人。

「そそそ、そうなの! サボるなんてもっての他なの!」
「せ、せやな! ちょーーっとくらい休憩する事は許されても、怠けたらあかんよなぁ!」

 一度目は警告、二度目は無い。
 ある程度は許されるけど、きっと二人は警備隊の許容範囲を超えたんだろう。区画警備隊は凪さんが纏めてるはずだけど、優しいから厳しく引き締めるには少し足りない。
 サボったら罰として徐晃隊の訓練に参加させる、なんて言ってるのかもしれない。

「そろそろ他の事を聞きたいのだけれど……いいかしら?」

 華琳様の声で皆がそちらを向いた。

「括りつけてある紙には願い事を書いてあるようね。これはなんの意味があるのかしら?」
「実はそこまで詳しくは俺
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