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夏の始まり、七夕フェイズ 魏
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ああ、あれは……凄かった」

 ほわーっと、春蘭さんが蕩けたような表情に変わる。
 そんなにおいしかったのか。一体何を作ったんだろうか。

「女の欲望番外地……」

 春蘭さんの訳のわからない一言に皆が首を傾げた。ホントに、何を作ったんだろう。

 一応皆が食べ終わり、それぞれの仕事に取り掛かろうと席を立とうとした所で、徐晃隊の人からメモを届けられた。
 夕食後に練兵場に集まってほしい、とのこと。
 何が待っているのか楽しみで仕方なくて、相変わらず彼のいたずらが可愛くて、私は心が暖かくなった。
 彼が頭脳労働の為にと作ってくれた『琥珀飴』を口に入れて、高鳴る胸をそのままに執務室へと歩みを進めて行った。







「七夕パーティへようこそ。歓迎しよう。盛大にな」

 焚かれた篝火はあまり多くない。淡く照らし出された練兵場の中央では葉竹が幾つも立てられ、ひらひらと棚引く紙が幾つも枝に括りつけられていた。
 中心で、彼の後ろにはせっせと動く店長さんとその手伝いをしている天和さん達が居た。

「七夕、ぱあてぃ?」

 疑問を向けるのは月ちゃん。
 華琳様はつかつかと笹に歩み寄ってつけられている紙を確認していた。

「……まだ七夕は有名じゃ無いのか。ここいらの時期が逸話の発祥だと思ったんだが……」

 独り言を零して、考え込むように頭を抱えて、彼は悩み始めた。
 決まって、こういった時は言うか否か迷っている時なのだ。しかし……

「話しなさい秋斗。そうやって悩む時はいつも私にとっての些末事でしかないでしょう? あなたの悩みなんか聞いてから判断出来る」

 こうやって華琳様に嗜められる。
 大きくため息をついた彼は、パチパチと火が音を鳴らす練兵場で、集まった皆に一つの物語を語った。

 天によって引き離された夫婦の話。
 この日のみ、出会う事が出来る星達の話。聞きながら、皆は一様に満天の星空を見上げていた。
 きゅうと胸が締め付けられた。
 それは……引き離されたという点に於いては余りに感情移入しすぎてしまう話であったから。……彼にとって、思いを込めてしまうのは詮無き事だ。
 しかし怠慢が原因だとしても、その罰はあまりに行き過ぎていないだろうか。

「――――ってなわけで、この日は二つの星が出会える唯一の日ってわけだ」
「一年に一回しか大切な人と会えないなんて……そんなの哀しいよぉ」
「そうですよ兄様。職務の怠慢が原因でも、酷すぎます」

 季衣ちゃんが少し涙を流し、流琉ちゃんが指摘した。
 ふるふると首を振った秋斗さんは、月ちゃんと華琳様を交互に見て、一つ頷いた。

「天の法が厳しいのもあるだろうけど、それだけ立場ってのは重要なのさ。絶対に有り得ない事だが、華
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