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子供の質問
第一章
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しこのことはまだ由紀夫にはわからないとも思うのだった。
「けれど由紀ちゃんはまだ言葉話せるようになったばかりやしな」
「まだあんたの仕事がわからへんっていうんやな」
「わかる筈がないで」
 そうとしか思えなかった。兼修は姉に言いながら蜜柑の袋を一つ口の中に入れた。そうしてそれを口の中で噛んで味あうのだった。 
 その蜜柑の甘酸っぱさを楽しみながら。さらに姉に対して言うのだった。
「そんなのは」
「わからへんっていうんやな」
「そや。それで何でわしにばっかり尋ねるんや?」
 どうしてもそれがわからないで首を傾げるのだった。
「それがなあ」
「それはあんたあれやで」
 しかし静子は穏やかな笑みで彼に言うのだった。言いながら彼女もまた蜜柑の袋を口の中に入れる。それは兼修が口の中に入れたものより幾分大きかった。

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