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その魂に祝福を
魔石の時代
第一章
始まりの夜2
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とやらがこの辺りをうろついているのは把握していたという事か。ここ数日光が纏っていた微妙な緊張感は、それが原因だったらしい。
「何でなの? 何で光お兄ちゃんがそんな事を……」
 詰め寄ると、リブロムは少し後ずさりした……というか、しようとしたらしい。母さんの腕の中で微妙に身体(?)を震わす。
『一つは相棒が魔法使いだからだ。魔物退治は本業だし、何でも願いを叶えるって代物には色々と因縁がある。……まぁ、不抜けた今の相棒でも、よほどの事がない限り放っといても大丈夫だろ。何せ相棒は不死身だからな』
 どうせ死にはしない。げらげらと笑い――なのはに睨まれて、慌てて咳払いをした。そのまま言い訳のように付け足す。
『むしろ、オレはそのフェレットとやらに同情するね。よりによってお前を巻き込もうとするなんざ、殺してくれって言ってるようなもんだ。何せ、ソイツが手を出したのは、相棒にとって可愛い可愛い大切な妹だからな』
 そこで、リブロムはなのはが持ち帰った赤いビー玉に視線を動かした。
『ところで、その赤いビー玉は一体どうした?』
「えっと……。そのフェレットさんが持っていた物なんだけど……」
 困ったようになのはが視線を泳がせた。渡される直前で光が遮ったらしいのだが――気付けば自分でも知らないうちに握りしめていたらしい。
「これがあれば、私にも魔法が使えるみたいなんだけれど……」
『だろうな。……アイツらが持ってたのとはちょっと違うようだが、多分これは――』
 心当たりがあるのだろう。だが、リブロムは途中で言葉を切り、大小の眼をぎょろぎょろと動かす。そこで、気付いた。開けはなられた窓の外側。そこから見える木の枝に何かがいる。わざわざ乗り込んでくるとは、なのはが拾ってきたこのビー玉は、どうやらよほど大切なものと見える。
『ったく、面倒なモン拾ってきやがって。取り返しに来たんじゃねえか?』
「かもな」
 何であれ、当事者に直接話を聞ける好機だった。わざわざ逃す手もあるまい。
 リブロムの言葉に頷きながら、近くにあったペン立からボールペンを抜き、飛針の要領で投げる。と、それは慌てて飛びのき、逃げ出そうとした。だが、逃がす気はない。そのまま適当にペンやら鉛筆やらで退路を断つ。最後に、リブロムが叫んだ。
『があああああっ! 大人しくしねえと頭から喰っちまうぞおおおお!』
「ひいいいいいいいっ!?」
 地面に縫い付けられ、悲鳴を上げたのは――それは、一匹のフェレットだった。 




(ああ、何でこんな事に……?)
 恐ろしく正確な狙いで飛んでくる数々の文房具で地面に縫い付けられながら、僕はひたすら恐怖に震えていた。
 そもそもの事の発端は、あの恐ろしい魔導師の少年だった。どうやら他の兄姉たちらしい二人の近くに妹を置き去りにしてから、彼
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