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その魂に祝福を
魔石の時代
第一章
始まりの夜2
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いかしら。それなら……そうね。光の部屋に行って、窓の近くの棚を探してきてくれるかしら。きっとそこに証拠があるわ」
 確かに、あいつは自分でよく天日干しやら陰干しをしている。だから、大体その辺りにいるだろうが。
「あ、待って、母さん。それなら、さっきベッドの上にいたよ」
 部屋を見に行った美由紀が言った。
「そう。それなら……ちょっと驚くかもしれないけれど、落としたらダメよ?」
「う、うん……。分かった」
 良く分からないまま、なのはは早足に光の部屋に向かっていく。それを見送ってから、ふと思い出す。
「大丈夫かな?」
「大丈夫よ。確かに口は悪いけど、悪い子じゃないし」
「いや、そうじゃなくて。むしろ、あいつが大丈夫かなって……」
 あいつ――光が魔法使いだという証明でもある、あの本……『偽典リブロム』は、何故だか妙になのはを苦手にしているらしい。何とも変な話だが。
 そもそも、なのはは彼……だか彼女だかの存在を知らないはずなのだから。
「きゃあああああああっ!?」
『ぎゃあああああああッ!?』
 そんな事を考えていると、光の部屋から悲鳴が響き渡った。そのまま危なっかしい足音が戻ってくる。
「何これ何これ!? 何か変なのがいたよ〜!?」
『誰だ! こいつにオレの事話しやがったバカ野郎は!?』
 先ほどとは別の意味で半泣きのなのはが、同じく半泣きのリブロムを抱えて戻ってくる。あれだけ悲鳴を上げてもちゃんと抱きかかえて戻ってくるとは大したものだ。場違いにも、そんな感想が浮かんだ。
「まぁまぁ、二人とも落ち着いて。ね?」
 早口にまくしたてるなのはと、同じ勢いで罵声を吐きだすリブロムに、母さんがにっこりと笑って見せ、ついでにリブロムを受け取る。それで、取りあえず騒ぎは落ち着いた。
『それで、桃子。オレに一体何の用だ?』
 取りあえず一息ついてから、リブロムが少々不満そうに母さんに問いかける。
「なのは、リブロム君に説明してあげて」
 とりあえず、母さんはそれを男性だと認識しているらしい。男の声と女の声が二重に重なって聞こえてくるため、正直どちらなのか良く分からないのだが。
(まぁ、口が悪いしな)
 というのは、偏見だろうか。先ほどよりいくらか筋道の通ったなのはの説明を聞きながら、ふと呟く。まぁ、どうでもいい事だが。
『その話からするに、そのフェレットとやらは魔導師か……。よくよく運がねえなぁ相棒も。いや、そうでもないか?』
 なのはの説明を聞き終え、リブロムが言った。どうやら心当たりがあるらしい。
『しかし、何でも願いを叶える宝石と、それが生み出す魔物ときたか。懐かしい話だ
ねぇ。しかも侵入者の正体は魔導師か。ククク……なるほど。それはマジでやるしかねえよなぁ。ヒャハハハハッ!』
 なるほど、すでにその魔導師
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