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その魂に祝福を
魔石の時代
第一章
始まりの夜2
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だ」
 やれやれ。相変わらず唐突な話だ――月も見えないような暗い夜空を見上げて呟く。
 本当に。予定よりずいぶんと早い。だが、それでも。
 今夜限りでただの人間であった高町光は消える。
 



 俺が高町光――いや、御神光と初めて出会ったのは、父さん――高町士郎の病室だった。もちろんその時に、彼が父の命の恩人だという事は聞いていた。とはいえ、やはりその時は気が動転していたのだろう。あまり詳しい話を聞く事はなかった。それどころか、ほとんど会話をした記憶もない。その時光は病室の片隅に佇んで、妙な――いや、不気味な装丁の本を読んでいたからだ。
 そのせいもあって、命の恩人だという印象より、不気味な奴だという印象の方が強かった。だから、両親が彼を連れ帰ってきた時は酷く驚いたものだ。さらに彼は御神美沙斗の相棒だと言った。その上、両親は両親で、彼女の息子だと告げたのだ。御神美沙斗と妹の美由紀の関係は知っている。いかなる経緯でそうなったのかも、今何をしているかも、ある程度は聞かされていた。だから、俺達兄妹――いや、俺と美由紀と光との間がぎくしゃくしたのは当然のことだった。
 もっとも、それとて大して長い期間だった訳ではない。そのうち店がどうにか軌道に乗り、美由紀は母さんを手伝って店の仕事に没頭し、俺は父の跡を継ぐべく道場に篭りきりになった。それから俺達が打ち解けるまでそれ相応に時間が必要であり、その間に光にはずいぶんと大きな借りを作ってしまった。もっとも、それが理由で打ち解ける事が出来たとも言えるが。
 そんな彼の秘密を知ったのは、父の士郎が退院してきてからだ。その日、いつも通り道場で修練をしていると、父さんが光を伴ってやってきた。
「光に魔法を見せてもらおうと思ってね」
 父さんは何の前触れもなく、そんな事を言い出した。確かに、両親が光を『魔法使い』と呼んでいたのは知っていたが――それは、単なる冗談か何かの例えだとばかり思っていた。だが、父さんは言った。彼は本物の魔法使いだと。
 ……――
「恭ちゃん、やっぱり、なのはがいないよ」
 末の妹――なのはが、夜中に家を抜け出したらしい。何となく、嫌な予感がした。というより、何となく嫌な予感がしていた。
 嫌な夜だ。何がどうという訳ではないが、暗く曇った夜空を見上げ呻く。
「光はどうしている?」
 こういう時、自分よりも弟の方が勘が鋭い。彼が平静にしているなら、おそらくは俺の思い違いに過ぎないはずだが。
「それが、光もいないみたい」
 何とも不吉だった。光が動いていると言うなら、何かしらの危険が迫っている可能性が高い。その上さらになのはまで不在となれば心配するなと言う方が難しい。
「仕方がない。探しに行こう」
 少し躊躇ってから、続ける。
「……夜遊びを覚えるには、なのははま
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