番外13話『終戦』
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肌に感じる鋭い風で、目が覚めた。
「……」
青い景色が広がっていた。
海だろうかと考えて、太陽が浮かんでいることに気づいた。
――まぶしい。
どうやら今の俺は空にいるらしい。
空に浮かんでいるとでも思えばいいのだろうか。
とにかく体を起こさないと何もわからない
ゆっくりと体を起こそうとして、体中に激痛が走った。
「っ」
予期していなかった痛みに一瞬だけ気が遠のいた。
痛みにはある程度慣れていると思っていたけど、そういえば俺が最後に死にかけたのは2年前に初対面のエースにこっぴどくやられたのが最後だった。もちろんあれからも師匠や白ヒゲさんたちには修行とか手合せとか言う名目で色々と怪我をしたけど、なんだかんだで試合感覚だったせいか重傷を負うことはなかった。
重傷といっていいほどの痛みの感覚を忘れかけていた自分を、そういう傷をなかなか負わないぐらいに強くなったからだと喜べばいいのか、それとも痛みという感覚に対して弱くなってしまったと嘆けばいいのかは今は置いておくとして、ずいぶんと久しぶりに感じるこの痛みは、一体なんだろうか。
それを考えた途端、思い出した。
「……あぁ……負けたのか」
砂嵐に気を取られて、負けた。
言い訳をする気にもならないほどの負けだ。
「……情けない」
色々と自分の殻に閉じこもりたくなるぐらいの敗北だけど、俺がクロコダイルに負けたとなるとどういう状況なのかをすぐにでも知らないといけない。
というか、今の俺はどういう状況だ?
それを知るために、今度はゆっくりと上半身を起こし――
「な」
唖然としてしまった。
「――お、目ぇ覚めたか。ハント」
幻でもなんでもなく、俺と同じように風に髪を揺られながら。
「……ルフィ?」
ルフィがそこにいた。
なんでここに?
そういえば最後にルフィの声が聞こえた気がしたけど、あれは気のせいじゃなかったのか?
ルフィがここにいるからには、とりあえずみんな檻から無事に脱出したんだろう。
それに案してはホッとしたけど、正直なところあまり心配していなかったから感慨はわかない。それよりもルフィに合わせる顔がなくて、なんとも居心地が悪い。
「ハント」
「……ん」
「悪い」
「ん?」
謝られた?
……え? なんで?
……どういうことだ?
意味が分からない。
クロコダイルを倒すと息巻いて、みんなを放置した結果俺は負けた。
謝らなければいけないのは俺のほうだろう?
「俺もあいつに負けちまった」
「……なっ」
理解するのに少しだけ時間がかかってしまった。
とりあえず察するに、どうやら俺の耳に最後に
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