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落ちこぼれの皮をかぶった諜報員
 後日談 あいつの分まで……
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弟の勇人から差し入れを預かっていてな」
「そうですか。わざわざありがとうございます。って弟!?」
「反応遅いぞ」
「す、すみません。でもあいつにお兄さんなんていないはずじゃ……」
「勇人の出身を知ってるか?」
「はい、“裏”で生まれ育ったって……」
「そうだ。離れ離れになってな。つい、この間再開したんだ」
「そうだったんですか……」
「雄一君、具合どうって……空山先輩?」


女子4人が病室に入ってくる。こいつは確か……間宮だったか。


「え? どうして空山先輩がここに?」


こいつは火野だったか……


「あかりちゃん、知り合いですか?」
「お姉さまもご存じなんですの?」
「うん。強襲科の先輩だよ」
「あれ? 俺ってば有名人?」
「まあ、ある意味では……(落ちこぼれだからなんて言えねえよ……)」
「でも、どうしてここに?」
「皆、空山先輩は勇人のお兄さんだ」


「「「「ええええええ!?」」」」


 全員が驚きの声を上げる。


「あ〜弟が世話になっていたようだな。礼を言わせてもらおう」
「そ、そんな……あ、勇人君はどうしたんですか!? あのあと、ずっと連絡がなくて……」
「勇人か? (やばい……どうしよう……死んだなんて言えないしな)」
「あ、あいつは追っていた奴を捕まえたんだがあいつも重症でな、今は腕のいい医療機関で治療を受けてるんだ。しかし、後遺症が残るそうでな、もう武偵はできなくなって、ここを退学することになったんだ」
「そ、そんな……でも、良かった。生きててくれて……あの時、本当に心配だったから、本当に良かった……」
「あいつもごめんって言ってたぞ。おっと、俺も行かないと、じゃな」
「はい。わざわざありがとうございました」








病院から出て、少し、散歩をしていると夕方になった。




勇輝はビルの屋上に立って勇人のナイフを取り出し、夕日に向ける。


「勇人、親父と母さんと一緒に……天国から見ていてくれ……必ず……お前の分まで生きて見せるからさ……」


すると、勇人のナイフが返事をするかのように光った。



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