後日談 あいつの分まで……
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はしましたけど、念のため病院で見てもらってくださいね」
「ああ、面倒を掛けたな。今度お返しでもさせてもらうよ」
「いいえ。私が好意でやったことですから……」
「そうか……んじゃ、またな」
「はい。お大事に」
香里と別れ、寮へ戻った。
プルルルルッ!
「ん? 武敏か」
「どうした?」
『明日、補修があったよな?』
そういえばあったなそんなもん。
「あるけどどうした?」
『学校行く前でも補修が終わった後でもいいから店に寄ってくれ。渡したいものがある』
「渡したいもん? なんだそりゃ?」
『とりあえず明日だ』
「お、おう。じゃな」
『ああ』
翌日――
「渡したいもんってなんだ? まあ。いってみりゃあ分かるか」
ガチャ
「おーい、武敏、来たぜ」
「ああ、渡したいものは2つある。いや、1つは頼みだな。届けてほしんいんだ」
「届け物なら運送会社にでも頼めよ」
「まあ、そう言うな」
「まず1つ、これを武偵病院に入院している石川っていう奴に持って行ってほしいんだ」
「石川?」
(確か強襲科でいたな。そんな奴)
「ああ、石川は勇人が中学の時からの友人でな。“裏”を出たばかりの勇人の面倒を見てくれた奴だ。勇人が亡くなったなんて言えるわけないだろう? 勇人からの差し入れってことで持って行ってやってほしいんだ」
「分かった。勇人が世話になったんなら礼ぐらいは言わないとな。で、あと1つは?」
「ああ、これだ。開けてみろ」
武敏から丁寧に紙に包まれた物を受け取り、紙を開いてみる。そこには……
「これは……」
紙の中から他の誰でもない、勇人が使っていたナイフが出てきた。
「勇人の奴、俺が“表”に出てきた祝いに贈ったナイフをまだ使っていたんだ。要するに、勇人の形見だ。お前が持っていた方が勇人も喜ぶだろう」
「……ありがとな……」
「気にするな。行かなくていいのか?」
「そういえば補修があったな。んじゃ、行くわ」
「ああ」
「やれやれ、本当に勉強なんてものは面倒くさいな。勉強を作った奴には中指を10回ぐらい連続で立ててやろう」
「さてと、石川って奴の見舞いに行かないとな」
病院――
「えーっとここか」
石川雄一とプレートに書かれている病室の戸にノックをする。
「開いてますよ」
「邪魔すんぞ」
「あなたは……空山先輩?」
「よう、石川雄一だっけか?」
「はい。どうしたんですか?」
「ああ、
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