第十話 休憩
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だろう。
先程のルインの発言が懐かしいような気がしなくもない。
エックスはヘッドパーツ(ヘルメット)を外す。
すると遥か昔に造られた兄弟機に似た黒髪が露になる。
ルインもヘッドパーツを外すと、完全に金色の髪が露出する。
エックス「(ルインって、元は人間なんだよな…)」
ゼロから聞いた話だとルインは元は人間らしい。
レプリロイドはアーマーを装備した状態の時はレプリロイドだと分かるが、アーマーを装着していない時は人間と区別がつかなくなる。
それが人間とレプリロイドの境目を曖昧にしている。
エックス「(人間としての肉体を失ったルインはどんな気持ちで過ごしているんだろうか…?)」
肉体とは、肉体とは魂の器であり、重要なものであることは否定しようのない事実だ。
今まで人間であったのに全てが機械と化した時、正気を保てるだろうか?
恐らくそれは否。
人間とは、肉体と魂が共にあってこその存在。
エックス「ルインは…」
ルイン「何?」
サンドイッチを口に運びながらルインは首を傾げた。
エックス「ルインは元々は人間だったんだろう?」
ルイン「…ゼロから……聞いたの?」
エックス「…ああ、どうして人間であった君がレプリロイドになったのか……すまない、言いたくないならいいんだ」
自分だって経歴が不明なレプリロイドだ。
解析出来ない部分だって沢山ある。
何度、研究者からの好奇の視線にさらされたか分からない。
彼女を傷つけたくないと、エックスは話を中断しようとしたが…。
ルイン「生きたかったから…」
エックス「え?」
ルイン「私ね、レプリロイドになる前のことはもう殆ど思い出せないんだ。でもレプリロイドになる前にこう思っていたのは分かるんだ。“もっと生きたい”って」
エックス「生きたい…」
人間からレプリロイドになってまで生きたいと願う心。
かつて人間だった彼女がどういう気持ちでこのような思いを抱いたのかは自分にも彼女にも分からない。
ルイン「今だってもっと色んな人に会いたいし、色んな物を見たいし、色んな人に私を知って欲しいから……今の私をね」
エックス「そうか…」
ルイン「私は…ルイン…第17番精鋭部隊所属のイレギュラーハンターだよ。今も、そしてこれからもね」
ウインクしながら言う彼女にエックスは動力炉が強く動いたような錯覚を覚えたが、気にせずに頷いた。
エックス「そうか…そうだよな。君は君だ。例え君が人間だろうとレプリロイドだろうと君は君だからな」
ルイン「そういうこと…あ、エックス。レタスが落ちるよ」
エックス「え?おっと!!」
ルインに指摘されたエックスはこぼれ落ちそうになるレタスを押さえるとサンドイッチを頬張る
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