第十二話
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、自身が気づいていないか不可能な状態にされることの二つだ。要するに手段がなくなるということ。実際に俊司はその弱点をつかれて、二つの命をなくしている。
しかしそれを補うのが決意『守ると決めた日』だ。能力のデメリットをなくし、自分・人・物のすべてを守ることができる。それにへたすれば撃退まで持っていくこともできるだろう。だがその部分がダメなのではと、俊司は考えていたのだ。
「決意『守ると決めた日』もそうだ。完全な防御で攻撃を防ぎ、さっきのように攻撃に写ることができる。でもそんな物をいろんな戦いで使ったら……負けるようなことなんてなくなってしまう」
「それでいいのでは――」
「それじゃだめだ。完全無敵なんてものは存在しない。俺の能力だって突破口はあるんだ。だから……俺はスペルカードにデメリットを含んでるんだ。強力なものには特に……」
完全無敵は存在しない。弱点は必ず存在する。それをなくすことも許されない。これが俊司の思想でもあり、自分に対しての甘えを取るものでもあるのだろう。かつて能力に頼りきっていた頃に見せつけられた、あの幼馴染の死に関連づけて……。
「俊司さん……」
「心配してくれてありがとう……でも、決めたことなんだ」
「……」
衣玖も妖夢も反論しようとはしない。というよりかは出来ないのだろう。目線を下に落としたまま黙り込んでいた。
「……でもこのスペルカードは最終手段として使うよ。出来れば俺もこんなスペルカードは使いたくないから」
「……わ……あな……から」
「……妖夢?」
「私が! あなたを……守りますから……!」
妖夢はまたしても涙目になりながら、真剣なまなざしで俊司を見つめた。
「私があなたの弱点を補います。必要ならば目や手足にもなって見せます! ですから……ですから……」
徐々に視線を落としながら、妖夢はまた黙りこんでしまった。俊司も彼女の気持ちがわからないわけではない。逆の立場でもそう言ったはずだ。俊司は聞こえないように小声でありがとうと呟くのだった。
「衣玖さん、色々とご迷惑をおかけしました」
「いえ。私のことは大丈夫ですから。そうそう、あなたが目覚めたら永琳先生を呼びに衣玖約束でしたね。呼んでまいります」
衣玖は静かに立ちあがると引き戸に手をかける。
「ああ、言い忘れていました」
「言い忘れ?」
「はい、紫さんからの伝言です」
そう言うと、衣玖からさっきまでの優しさにあふれた表情が消えた。
「あさって……全員を集めて会議を行うそうです」
「そっ……それって!」
「……最終決戦だそうです」
衣玖はそう言い残して部屋から去っていった。
(最終決戦か……こうしちゃいれないな!)
俊司はそばに置かれていた銃とナイフを取ると、所定の位置に装着して立ち上がった。
「妖夢、ちょっと
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