第二話 四
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かった。
むしろ、どんどん彼女の侵食は激しくなっており、彼女の右半身はほぼ、人間とは異なる生物に変わろうとしていた。
「もう、駄目みたい…… ごめんね、アリスちゃん」
彼女が諦めの言葉を口にした時、ナナシと天羅が彼女とアリスの下へ戻ってくる。
今回、ナナシはデセスポワールを倒したのでエリマキトカゲのような傘を畳む。そして、その姿の状態で、「グルル」っという、若干獣じみた唸り声を出しながらも抑揚の無い声で喋った。
「アリス、パパを探しに行こう」
「あ、あれ…… ナナシがしゃべってる…… なんで? あ、だめだよナナシ。まだわたしはゆづきとはなれたくない。ねぇ、ナナシ…… ゆづきをたすけてあげて、ナナシ……」
アリスは涙ながらに縋るように両手を祈るような形で胸の前で組み、ナナシへ彼女を助けるよう求めた。
ナナシは結月を一度瞳の無い顔で彼女を見た後、下の方へ顔を向けて考える。
「落ち着くんだ、アリスお嬢ちゃん。まだ方法が無いわけでは無い」
ナナシは答える事が出来なかったが、代わりに天羅が答えた。
突撃銃を肩に片手で担ぎながら、彼は先程の戦闘で疲労し、額に汗を流しつつも丁寧に彼女へ話しかける。
「適合者は特殊弾を打てばある程度侵食を止められると思う。一度も試した事が無いがな……」
天羅は少し悩みながらも、決心がついたのか、結月に向けて銃を構えた。
彼の突飛な行動にアリスは驚き、すぐに彼女を庇うように前へ両手を開いて出た。
「だめ!」
「アリス嬢ちゃん、別に結月を殺すつもりは無い。彼女を化物にしない為にはこれしかないんだ」
「うっ……」
「なるほど、毒を盛って毒を制す、悪くは無いが死ぬぞ?」
「細胞が死んだ弾を使うんだ、大方弱い奴では無いだろうし適合者はまだ人間の肉体だ。変異した部分を撃てばその箇所だけを殺す事が出来るだろう」
天羅は自分の仮説をナナシに自信を持って話すと、ナナシはこくりと頷いてからアリスの方へ顔を向けた。
「アリス、下がれ」
ナナシは抑揚の無い声で、アリスに命令する。
彼女は少し嫌そうにしたが、しかし、天羅の言う事は最もなので渋々ナナシの隣へ行き、彼の畳んである甲殻から元通りになっているざらついてるが柔らかい傘をゆっくりと掴んで心配そうに結月を見た。
結月はアリスが心配そうにこちらを見ている事に気づき、安心させるようにこくりと頷いて、笑顔を作る。
「大丈夫、私は…… まだ、死なないよ」
「それじゃあ、撃つからな。もし仮にお前が死んでしまったら決してゾンビにはしない」
彼はそう少し固い声で言うと、銃を彼女の変異している部位に向けて構える。
「ありがとう、ところで聞きたい事があるの…… 貴方
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