第二話 四
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…… やはり、適合者は不完全な存在なんだな。クソッ!」
彼は彼女の悲惨な姿を見て、頭を抱えて呻いた。
ナナシは天羅が何故悩んでいるのか、全く分からず、いつ再び襲ってくるか分からないデセスポワールを見ながら天羅に問いかけた。
「一体どうした?」
「彼女が自分の力を抑えられずに奴らの仲間入りをしそうになっているのさ、ともかく、このままではアリスと俺達にも危険が及ぶかもしれん」
天羅は苦虫を潰したような顔で、彼に説明すると、ナナシはすぐさま淡々とした声で答えた。
「アリスが危険になるのならば、俺は彼女を連れて今すぐここから離れる」
「それは許さんぞ、そんな事をしたら俺が彼女を殺す」
天羅は彼がそう答えると予期していたのか、すぐさまナナシへ銃を向ける。
既に引き金に指を掛けており、いつでも発砲できる状態だ。
「そうか、ではお前から片付けよう」
ナナシは天羅から感じる明らかな殺意に反応し、尻尾を振り上げて、彼に向かって威嚇する。
前足にはブレードが生えており、ナナシも天羅を殺すつもりだ。
「ま…… まって、二人共…… わ、私はまだ、やれるわ! だから、争わないで!」
先程まで、二人で協力していたナナシと天羅が敵と戦っているこの緊急事態に、結月は気づき、すぐさま二人に向かって叫んだ。
自分のせいで敵同士として睨み合いを始めた二人に、結月は「ごめんね」っと言い、涙を流しながら口を開いた。
「自分のせいで、誰かが争うなんてもう嫌よ…… もう、私はあの頃と同じ過ちを犯したくない!」
彼女は泣きながらも決意を込めた瞳で、敵を睨むと、自分の変異した右腕を敵の方へ向ける。
そして、デセスポワールに向けて全力の電撃を放った。
「ぎえああああああ!!」
電撃は敵の中心に命中。デセスポワールは悲鳴を上げながら動きを止めた。
まだ死んではいないが、相手は一時の間は行動不能だろう。
「結月……」
天羅は結月を一度見てから、目を逸す。
彼女の身体…… 右腕から右足までデセスポワールみたいな肉体に侵食が進んでおり、彼は見ていられなかった。
自分がナナシと争った事で、結月を追い詰めて全力を出させてしまった。それにより、彼女を化物へ一歩近づけてしまった事による罪悪感で、彼は彼女に「すまない」っと謝る。
そんな中、ナナシは相手の動きが止まった事により、素早くデセスポワールに近づき、尻尾の刃と前両足のブレードを使って切り刻んで止めを刺す。
「ゆづき、ねぇ。おねがいだからばけものにならないで…… はやく、もとにもどって」
アリスは涙を堪えながら、彼女に人間に戻ってくれと懇願する。
結月は必死に力を抑えようと頑張るが、どうしても元に戻れな
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