第一話 二
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なっちゃうの?)
ありすは青い顔で心配して倒れているナナシを見つめると、彼女が心の中で思った通りの事が起こった。
「ぎゃああああああああ!!!」
少年だったナナシの身体から、四足の化物が自分の身体をまさぐっていた男の顔に思いっきり飛び出し、男の顔を化物になったナナシは噛み砕いた。
男の顔が潰れ、血と脳漿、骨片が辺りにぶちまけられる。
そして、化物になったは頭部の無い男を踏みしめるや、次に死んだ男の仲間達に向かって、駆け出した。
「こ、こいつ! どこから湧いてきやがった!?」
「撃て! 撃て!」
男達は仲間を殺したナナシに素早く銃を構える。しかし、男達が銃を構える速度よりもナナシの接近する方が遥かに早く、彼は鋭利な尻尾を振るって一人の胸に一突き入れる。
「ぎゃふ!?」
ナナシは男の身体を貫いている尻尾を真横へ払い、男の身体を分断。彼の上半身は転がり落ち、下半身はびくんびくん痙攣しながら血を噴水のように噴出させて腸や肝臓等のどす黒い臓物を地面にぶちまけて倒れた。
「ひい……!」
仲間の凄惨な死を目の前にし、生き残った男は怯む。
ナナシは怯んでいる敵の隙を見逃さない。
彼は男にゼロ距離まで瞬時に走って近づくや、飛んで男の首筋に噛み付く。
「ぐえ!」
首を捉えたナナシはゆっくり上顎と下顎に力を入れて、男の首を噛みちぎろうとする。
しかし……
「まって!」
突然、ありすが車の下からはいずり出て、今にも男を殺そうとしているナナシに近づいた。
「だ、だめだよ…… ころしちゃだめ」
ありすは今にもこの悪夢で倒れそうな顔をしているが、必死に化物になっているナナシへ殺してはダメだと何度も懇願する。
だが……
「あっ……」
ナナシは彼女の頼みに答えず、男の首を噛みちぎる。
すると、苦悶と絶望の表情を浮かべている生首がありすの足下に転がってきた。
「ひっ……!」
ありすは恐怖のあまり悲鳴にならない声を上げて、ぺたんっと尻餅を付いて倒れる。
男を殺したナナシはそんな震えている彼女へゆっくりと近づいた。
ありすは恐怖の対象が自分へ近づいてきて、首を振りながらずりずりっと後ろへ下がった。
「や、やだぁ……」
ナナシは彼女が後ろへ下がっても、それでも近づく。
「こ、こないでぇ……」
ありすは半泣きになり、首をめいいっぱい振る。
あまりの怖さに目眩が起き、彼女の視界は風景がぐにゃりっと歪んだ。
(わたし、しんじゃうのかな……)
彼女は泣きながら半ば諦めて、とうとう近くへやってきたナナシを見ないように目を瞑った。
「グルル……」
ナナシは目を瞑って震えて
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