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絶望と人を喰らう者
第一話 一
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タレめ!」

 天羅は無駄だと分かっても、足を素早く動かして走りだした。

(俺は生きてこの事を報告しないといけないんだ! 腕や足がやられたとしても這いずってでも絶対本部の下まで戻る!)

 そう彼は心の中で決心し、無我夢中で走る。
 そして、今まで自分や仲間があの場所から遠く離れたところで、天羅は何かがおかしいと思った。
 後ろを振り返っても、あの化物が追いかけていない。

「どういう事だ? 普通なら…… あまり考えたくないが、自分はとっくに引き裂かれていただろうが? そういえば研究所に変なカプセルがあったな…… もしかしてあれと関係があるのか?」

 彼は疑問に思いながらも、すぐに頭を振り払って考えるのをやめた。
 ともかく、今やらないといけない事は命がある限り、自分の知った情報を全力で持ち帰る事だ。
 そう思い、天羅は再び前へ走り出して振り返る事も無く数分掛けて自分の帰る場所へ帰った。
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