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絶望と人を喰らう者
第一話 一
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どい有様になっているだけで何も存在はしていなかった。
 壁や床に付着している血痕、腐敗した人間の腕、そして、中に何かが居たのだろうが既に存在しない割れたカプセル。
 唯一の成果は避難している時に見落とされたと思われる、散らばっていた資料だけだ。
 そして、研究所から出たら今戦っている化物と遭遇してしまい、今に至る。
 皆の隊長である、天羅賢治は悩んだ。
 果たして、まだ近くに居るかもしれない生存者を探す為に、怪物、通称『デセスポワール』を殺すかそれとも仲間の命を助ける為に任務を放棄して退却するか。

「ぎゃあ!!?」

 叫び声が近くで聞こえ、すぐさま顔を出す。
 すると彼の視界に映ったのは、怪物の鎌のような腕によって両腕を切断された仲間の姿だった。
 怪物は二撃目で両腕の無い仲間の首を飛ばし、次の獲物を殺す為に別の仲間の方へ向かう。

 もう悩んではいられない。

 彼はすぐさま「撤退! 撤退する!」っと仲間達に聞こえるように声を張り上げて命令する。
 このままでは全滅してしまう、その前に少しでも仲間を生き残らせないといけなかった。

「俺が奴の注意を引きつける、赤池、お前は皆を連れて先に本部へ戻れ」
「隊長を置いて行く事なんて出来ません!」
「そんなテンプレな返しはいらん! こいつは命令だ、お前は皆を連れてさっさと本部へ戻るんだ!」

 天羅は赤池という兵士に、有無を言わさずに撤退準備させる。
 そして、自分はすぐに砂袋から飛び出すと、怪物に向かって走りながら突撃銃を乱射した。

「うおおおおおおおおおお!!」

 銃口から発射される弾丸は、怪物の身体を貫き、肉体を穿つ。
 だが、数発弾を食らっても、奴は全く微動だにしなかった。
 天羅は「嘘だろ……」っと呟き、冷や汗を流す。
 彼や彼の仲間の持っている銃の装填されている弾は全て、対デセスポワール用に開発された特殊弾なのだ。
 この弾があるおかげで人間は窮屈なシェルター暮らしから解放された。
 そんな人類にとって希望の象徴に近い弾が効かないとは……

 天羅はこのような事態に、ふと、嫌な予想が頭を過ぎった。

 もしかして、こいつ以外にも特殊弾が効かない敵が出現するのでは?っと。

 彼はその予想が当たったらと思うと、ぞっとしてしまった。

(取り敢えずその事は後だ、今はこいつを倒さないと……!)

 考えると、どんどん絶望していきそうになり、天羅はすぐに目の前の敵へ集中する。
 化物は既に彼の目前まで迫っており、絶対的な死をもたらす死神の鎌を振り払っていた。
 彼は素早く頭を下げてこれを回避。すぐに、全力疾走して化物から離れた。
 仲間はようやく撤退を済ませたみたいで、今この場所に居るのは自分と化物。
 天羅はそ
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