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無様な最期
第一章
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れど」
「はい」
 もう初老と言ってもいいが気品のある顔立ちでとても美しい。穏やかな笑みだがそこには強さも見られる。白いスーツを端整に着こなしている。そのスーツは田中のドブネズミ色の下品な、値段だけは張っているそのスーツとは全く違うものであった。
「何なのかしらね」
「所謂ジャーナリストですが」
「そう。ジャーナリストなの」
 彼女はそれを聞いてまずは頷くのだった。
「わかったわ。それはね」
「そうですか」
「ただしね」
 ここでその目が光るのだった。
「納得はできないわね」
「といいますと?」
「この人の言っていることがよ」
 そしてこう言うのであった。
「全く正しくはないわ」
「全くですか」
「そうよ。全くね」
 見ればその目にはっきりとした怒りと敵意があった。
「自分の国をそこまで嫌って何になるのかしら」
「それが受けてるんですよ」
 さっきから側にいる彼女のマネージャーがそれに答える。二人は今彼女の質素で簡潔な事務所において仕事をしているのである。その時にテレビを観ているのだ。

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