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題になったゲームアプリですよね。ダウンロードしたユーザーがことごとく意識不明になって、そのまま何人も、今でも意識が戻らないままだと……」

 刹那がむずかしい顔で解説をする。我が意を得たとばかりに頷くコクト。

「そうだ。偶然その残滓を手に入れた小波は、それを解き明かす実験の様なものをしていた。結果、あれが、言ってしまえば人の夢にアクセスする機能をもった、超常的な存在であったことが分かったんだ。小波はそれで、ずっと叶えたかった、『理想の異世界』へ行く夢がかなうのではないかと考え、セモンを始めとするテストプレイヤー達を呼び集めたんだ。自らの理想の成就のために」
「……研究自体はかなり進みました。データの作成は半ば《ジ・アリス》の残滓自体が行っていましたから、全体像を把握することは小波さんたちにも難しかったのです。もちろん、大まかな把握はしていましたし、簡単な操作もしていました。ですが、世界の中心になっていくにつれて、小波さんのコントロールは効かなくなっていったのです。僕たちは、《ジ・アリス》の残滓、《ジ・アリス・レプリカ》によって再現された《六門世界》の中心へと向かい――――そこを支配する、いわば《神》の様な存在に敗北しました」
「……その時に、セモンの陥った状況が複雑だったんだ。それで小波さんは、あなた達を呼んだ」

 言葉をつなぐのは良太郎。清文に、いったい何があったというのだろうか。

「(……清文……)」


 ほどなく、リムジンは大きな時計塔に着いた。地下におりていくリムジン。駐車後、一行はリムジンを降り、時計塔地下室へと歩を進める。SFチックなデザインの地下室に、陰斗が興奮し、刹那にいさめられる場面が目立つ。

 しばらく歩くと、ディスプレイの取り付けられたドアが現れた。コクトがパスワードと思しきワードを入力すると、ドアが開き、中の様子があらわになった。

「うわぁ……」

 感嘆の声を上げたのは、《聖剣騎士団》のうちの誰だったのだろう。琥珀自身だったかもしれない。

 壁から天井に至るまでを、大量の画面が蓋い尽くしている。ホロウィンドウが開いている場所すらあるではないか。凄まじい科学技術である。研究者めいた服装の人物が、ところどころを行き来している。

 その中に、長い茶色のくせ毛が見えた。清文によく似た髪質だ。

「小波」
「ん……ああ、来てくれたんだね。ようこそ、《聖剣騎士団》のみんな。俺が栗原小波だよ。清文の姉さ……もっとも、秋也とかーくんは知ってるだろうけどね」

 振り向いて軽く笑う栗原小波は、弟の清文とうり二つの顔をしていた。清文が女だったなら、丁度こんな顔立ちをしていたであろうと容易に想像がつくほどそっくりだった。

「かーくんなんて呼ばれたのは久々だなオイ」
「お久しぶ
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