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不思議な味
第一章
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「何だったのかしら」
 女の子にはそれを聞いてもわからない。
「味はなかったし」
「ないんだ」
「薄いのよ」
 タイ人が日本軍の食べているものに対する印象はそれであった。
「それでも何か気になって」
「食べてみたいの?」
「どうかな」
 アッサムのその問いには首を傾げてきた。
「食べたいっていえば食べたいし」
「そうなんだ」
 アッサムは彼女のその言葉を聞いて頷いた。おおよそ彼女の希望はわかった。
「わかったよ。それじゃあね」
「どうするの?」
「僕がその麺をお嬢ちゃんに食べさせてあげるよ」
「本当!?」
「お父さんはいるかな」
 まずはその麺を教わった彼女の父について尋ねた。

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