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Fate/stay night -the last fencer-
第二部
聖杯戦争、始動
黒守黎慈とフェンサー(1) ─信頼のカタチ─
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りした。

「そうよね。確かに無駄や余分ばかり。だから本当に徹底できていないのは…………」

 彼の魔術師らしからぬ性質は好ましい。
 魔術師であることを徹底することで彼のそういった彼らしさが失われるのなら、いっそ今のままで居てほしいと願う。

 そしてそれを望むのなら。

 その不足を補えるように。

 私がもっとサーヴァントとして、強く在るべきなのだ────────










 北欧地方の一国にある、とある古都。
 その街中を息を切らせながら駆け抜ける。

 煉瓦造りの家々が立ち並ぶ、趣深い町。
 その中でも一際目立つ古めかしい家屋に、私は足を踏み入れた。

 期待に満ちていた心には、直ぐに落胆の色が陰を落とした。

 目の前に探し求めていた人は居らず、代わりに一人の少女が待ち構えていたからだ。

「はぁ…………またハズレか」
「ちょっと。久しぶりの再会なんだから、挨拶くらいしなさいよ」
「…………ええ、お久しぶりね。会えて嬉しくないわ」
「相ッ変わらず可愛くないわねー」

 絹のようにしなやかな黒髪を背に払いながら、鮮やかな赤色の服飾を身に纏った女は毒づいた。

 それを何でもないことのように受け流しながら、彼女の言葉に同じく毒を返す。

「可愛い子ぶって猫被って、結局捨てられてたら意味ないわよねー?」
「……言ってくれるわね。置き去りにされたのはアナタも同じのくせに」
「お互いにねー。ホント、男ってバカばっかりだわ」

 部屋の扉の近くにあった椅子に座り、ベッドに腰掛けている彼女と向き合う。

 彼を探し始めてから二年余り。

 あちこちの国を一人飛び回るのも、情報を聞き付けた場所に目当ての人が居ないことも。
 そのたびに諦観の念を抱きそうになるのも、泣きたくなるような気持ちになることにも慣れてしまった。

 探し人を訪ねてあらゆる国を巡り回る日々。
 いつかの日には一人の青年と世界を旅したこともあったが、今は一人、その青年を探す孤独な旅の最中だ。

「それより何故貴女が此処に居るのかしら。私は彼がいるって情報を聞いて、わざわざここまで来たのだけれど?」
「アンタより先に情報手に入れて、先にここに辿り着いたっていうだけよ。実際、昨日まではアイツと一緒だったもの」

 その言葉に心臓が止まりそうになった。

 今まで一度たりとも手を掠めることすらなかった彼が、昨日まではこの場所にいたというのだから。



 頼みはしなかったのに、必死になって助けてくれた。
 そんな価値なんて無いのに、私なんかを大切に想ってくれていた。

 急に別れを告げて。

 急に姿を消して。

 どこまでも自分勝手なヒトだと本気
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