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Fate/stay night -the last fencer-
第二部
聖杯戦争、始動
黒守黎慈とフェンサー(1) ─信頼のカタチ─
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嵌め直し、肩と腕の激痛を抑え込んで技をかけにいく。

 俺のまさかの行動に思考停止したのか、フェンサーは隙だらけだ。
 両足を交差させて両脇に抱え込み、体を捻る勢いのままに彼女をうつ伏せにひっくり返す。
 その状態で腰を落としていき、フェンサーの上体がエビ反りになるまで止めず、手を緩めず。

 完全無欠に決まった、逆エビ固め────!

「は、あッ……くう……! こんなことで、わざわざ肩を外したりするなんて…………!?」
「色々負けられないもんがかかってんだよ! さぁどうだ、もう騙し討ちは通じねぇぞ!!」
「ぐっ、うぬにゅ…………!」

 意味不明な奇声を上げながら、先程の俺と同じように強烈な技に耐え抜くフェンサー。

 呻き声を漏らしつつも降参しない。
 もっとダメージが必要かと、固めを強くしようとしたそのとき。

 打ち付けるような音を響かせる玄関の扉。

『ちょっと、黒守さんよォ!?』

 事態に気付き、慌てて玄関まで小走りに出向く。

 お隣に住む、大学生の兄ちゃんだった。

「ねぇ、もうとっくに0時過ぎてんだけど? ドタバタドタバタ、大声まで出してさぁ」
「は、はい、申し訳ないです」
「もう少し考えてくれる? 普段はそんなことないから、今回はあんまり言わないどくけどさ」
「分かりました。御迷惑お掛けしました」

 必死に頭を下げながら謝罪する。

 不平不満や言い訳はあるが、これはお兄さんに当てるものではなく、部屋に引っ込んでいるフェンサーに対してぶつけるものだ。

 とにかく平謝りしながら、お許しが出るまで頭を下げ続けた。

「騒ぐにしても、ちょいと気を付けてよね」
「はい。すみません」
「…………まぁ反省してくれたらいいんだけど……」

 恐らく、お兄さんも無意識だったろう。

 何気なく視線を逸らした先に、部屋で待機しているフェンサーと目が合っていた。

 どういうつもりか知らないが、フェンサーは笑顔で手を振っている。

「……………………」
(アイツ、せっかく場を収めようとしている俺への嫌がらせか!?)
「…………こんな時間まで女とイチャイチャしてんじゃねぇよっ、爆発しろ!!」
「えっ、爆発!?」

 バァンッッ、とアパート中に音が響き渡るほど力任せに、ウチのドアが閉められた。

 残された言葉の意味は解らなかったが、ひとまず事は済んだと思い部屋に戻る。
 さっきまで戦り合っていた寝そべった状態で、肘をついて手の上に顎を乗せたフェンサーが話し掛けてきた。

「で、続きやるの?」
「アホか、今怒られたばっかだろ。もういいよ、あの戦況なら俺の勝ちは揺るがないし」
「何言ってるのよ。あんなの、筋力強化のスキルを使えば簡単に対処できた
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