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Fate/stay night -the last fencer-
第二部
聖杯戦争、始動
黒守黎慈とフェンサー(1) ─信頼のカタチ─
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弱点は人間と同じだろ!」

 身体を最大強化した状態で、全力で技をかけているんだ。
 能力的に優るサーヴァントといえども、関節だの骨の継ぎ目狙いだので攻めれば容易には抜け出せない。

 特にフェンサーは肉体的に優れたサーヴァントではないので、膨大な魔力に物を言わせた魔力放出やそれによる瞬間強化を使われなければ勝機はあるのだ。

 事実こうして、フェンサーを組み伏せている。

 実際それは彼女が手加減しているという実証でもある。
 しかしマスター相手に本気出すサーヴァントなら、それこそさっきと同じことを言い返してやる。

「あっ、ん……ダメ、レイジ…………ほんとにダメ…………」
「…………チッ、しゃあねぇな。意外にギブアップ早か──────」
「バカね……! だから間抜けだって言うのよ!」
「な、にぃっ!?」

 固めを解いた瞬間、拘束をスルッと抜けて突き飛ばされた。

 腕を掴み上げられて両足で固められる。
 そのまま全体重を後ろに預けて、腕を曲がらない方向に反り上げながらさらに捻り上げる。

 完璧なまでの腕ひしぎ十字固めだった。

「テメ、なんでプロレス技なんか知っ、ぐあぁッッ!?」
「ふふ、あははははっ! どう、参ったかしら、ま、す、たぁ?」
「っ、ぁあ……っ、ふざけ、やがって…………!」

 歯を食いしばりながら耐える。

 まさかサーヴァントともあろう者が騙し討ちなどと!

 腕の靭帯にとてつもないダメージが蓄積していく。
 フェンサーもギリギリの加減はしているようだが、一歩間違えば腕が砕け折れそうだ。

「貴女が居なければ生きていけません、これからは毎日食事を作らせてください…………この台詞を言えば、許してあげてもよくてよ?」
「誰が、そんな、プロポーズみたいな、恥ずかしい台詞を…………! 絶対死んっっっでも言わねぇ!!」
「そう。ならずっと苦痛を味わい続けなさい!」
「がぁッ、ぐ、ぅ……!」

 腕は限界まで引っ張られ、骨がギシギシと軋む音が聞こえそうだ。
 この状態で後10分もいれば、腕の安全のためさすがに負けを認めざるを得ない。

 くっそ、このままではあの恥ずかしい台詞を言わされてしまう!

 極度に負けず嫌いの俺にとって、敗北という結果は何よりも気に入らない。

 …………ならば多少の無理をしてでも、形勢逆転を成さねばなるまい!

「はっ、痛ぅう…………!!」
「え、嘘!?」

 フェンサーの拘束を無理矢理に抜け出した。

 サーヴァントの膂力で固められているのを利用して、体を跳ねるようにして肩を外したのだ。
 肩を外したことで一瞬だけ固めが不十分になったのを見切り、なんとか拘束を抜けることが出来た。

 痛みを無視して肩を
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