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スツーカ
第三章
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「戦車に兵隊をつけているがな」
「戦車随伴兵ですね」
「あれですね」
「盾だ」
 文字通りだ、戦車のだというのだ。
「あと歩兵は地雷原を歩いてくる」
「もう滅茶苦茶ですね」
「何人死のうが構わないんですね」
「だからだ」
 それでだというのだ。
「連中はだ」
「どんどん出て来るんですね」
「幾ら倒しても」
「それでなんですか」
「戦車も他の車両も尽きないんですね」
「それでもやってもらう」
 司令は強い声でスツーカのパイロット達に話す。
「いいな、とにかく奴等を倒せ」
「了解です」
「そうするしかありませんからね」
 パイロット達も敬礼をして応える、それで次の日もだった。
 彼等は出撃してソ連軍の戦車を上から攻撃する、機関砲で撃ち抜かれた戦車は次々に動きを止め炎と煙を出していく、だが。
 幾ら倒してもだった、本当に。
 ソ連軍の車両は尽きない、戦車も他の車両もだ。
「おい、T-34だけじゃねえぞ」
「鼠だけじゃないな」
 Tー34は砲塔のハッチが二つ並んでありそれを同時に開いた格好が鼠に似ているのでこの仇名がついているのだ。
「あれアメリカの戦車みたいだな」
「ああ、車高が高いな」
 上から見てもそれがわかった。
「あれ何だ?」
「確かシャーマンじゃないのか?」
 パイロットの一人がこう言った。
「あれは」
「あのアフリカで出て来たか」
「あの戦車か」
「そうじゃないのか?あいつ等イワンにも戦車を送っているのか」
 ここでこのことに気付いた彼等だった。空を急降下と急上昇、旋回を繰り返し何度も攻撃を繰り返す中で。彼等の上には護衛のメッサーシュミットが展開している。
「道理で減らない筈だな」
「ああ、俺達が幾ら倒してもな」
「連中が戦車を送っていたのか」
「アメ公のもまであるなんてな」
「これはまずいな」
 彼等はこのことを確認してこれまで以上に苦い顔になった。
「連中の国力は半端じゃないからな」
「ああ、イワンだけでも辛いのにな」
「どうしたものだよ」
「幾ら倒しても後ろにアメリカまでいるのかよ」
 ウラルの工業地帯だけではなかったのだ、このこともわかってだった。
 彼等は苦い顔になった、それで。
 まだ攻撃を続ける、しかしその表情は暗い。
 しかもだ、ここで護衛のメッサーシュミットの部隊から通信が来た。
「おい、まずいぞ」
「イワンの戦闘機が出て来たか?」
「あいつ等が」
「ああ、あんた達は下がってくれ」
 こう彼等に言うのだった。
「相当な数だ」
「ちっ、戦闘機まで多いなイワンは」
「どんどん増えてくるな」
「俺達もあんた達が逃げてから退く」
 敵の数があまりにも多いからだ、足止めの後で撤退するというのだ。
「だからな、あんた達はな」
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