第145話
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に、残された力を注ぎ込む。
「打ち止めァァああああああああああああああああああああッ!!」
顔を上げて叫んだ。
ピクン、と呼ばれた少女の肩がわずかに動いた気がした。
倒れたまま、腕を振り上げる。
ベクトル操作では木原は弾けない。
風も妨害されて使い物にならない。
そもそもこの状態を叩き潰す事は考えるべきではない、もっと優先すべき事があるのだから。
一方通行は歯を食いしばって、己の手を濡れたアスファルトへ叩きつける。
ゴッ!!という破壊音。
膨大な力に吹き飛ばされたアスファルトの破片は四方八方へ飛び散り、それによって木原がわずかに後ろへ下がる。
猶予は一秒もない。
限られた時間の中、一方通行は今度こそその手に『風』を掴む。
木原の舌打ちが聞こえた。
暴風の槍は木原の真横を突き抜け、黒ずくめの男に掴まれている打ち止めの元へと突っ込んだ。
風速一二〇メートル。
その身に暴風の風を受けた打ち止めの身体は黒ずくめの手から離れ、一〇メートル以上の高さのビルをいくつも飛び越え、風景の陰へと消えていく。
ごぼっ、と一方通行の喉が変な音を出した。
押えつけようと思う前に血の塊が吐き出され、彼の顔は再び雨に濡れる路面へと落ちる。
バッテリーの残量はあっても、もう『反射』に意識を割けない。
風景に消えていく打ち止めを見た木原が面倒くさそうな声をあげる。
残っている黒ずくめに指示を出し、打ち止めの回収班と木原の元に残る班を分ける。
指示に従い、回収班は散り散りに路地に消えていく。
そして、木原は転がっている一方通行に近づく。
持っていた工具箱を振り上げる。
ボロボロになった一方通行の顔を狙う。
「せっかく逃がしたのは良いけどよ、アレは一〇分もしねー内にカゴの中だぜぇ?」
「・・・黙れ。
クソッたれが。
オマエにゃ・・・一生、分かンねェよ。」
「そーかい。
じゃあ殺すけど、今のが遺言でイイんだよな?」
汚ねェ染みになっちまいな、と木原は嘲笑う。
くそ、と一方通行は顔に出さずに呟く。
このままでは木原の言う通り、打ち止めは捕まってしまう。
一応、逃走能力はあるがそれでも圧倒的に不利だ。
黄泉川は何をやっているのか、芳川は拳銃を持ってやってこないのか、と一方通行は思う。
答えは分かっている。
もちろん来ない。
そんなに都合良く来てくれるはずがない。
それでも。
(誰か。)
それでも、一方通行は思
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