第145話
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もう一つの方法も既に頭に演算式を構築している。
それなのに木原はそのどれにも該当しない攻撃をしてきている。
もう一人の男、上条当麻の右手に殴られた不快感が一方通行を襲う。
「ただ向かってくる力のベクトルを『反射に』変えているだけだ。
なら話は簡単でよぉ、テメェをボコボコにするためには直撃の寸前に拳を引き戻せば良い、言っちまえば寸止めの要領だな。」
木原はそのまま起き上がろうとしている一方通行の頭を踏み潰すように、何度も靴底が襲い掛かる。
身体の色々な部分が踏み潰され、引きつった皮膚が切れ、地と雨水が混ざり合ってにじんでいく。
「テメェは、自分から遠ざかっていく拳を『反射』させてる訳だ。
って事はよぉ、テメェはわざわざ自分から殴られに行ってるって話なんだわ。」
木原がこちらの能力を逆手に取っているらしいのは何となく分かる。
それが机上の空論ではなく現実の問題として実行可能かは分からないが、木原相手に『反射』は使い物にならない。
そう判断した彼は空気の流れのベクトルを制御して暴風を起こそうとするが、そちらもピーッと乾いた音が聞こえただけで吹き消させる。
「同じ事だ。
テメェの能力はベクトルの計算式によって成立する。
なら、ソイツを乱しちまえば良い。
風の『制御』は『反射』に比べて複雑な計算式を必要とする。
テメェの計算式の死角に潜り込むような波と方向性を持った『音波』を放っちゃあ、簡単に妨害できんだよ。」
そこからゴン!!ゴギッ!!ベゴ!!と鈍い音が連続する。
息が切れるまで蹴り続けると、木原は赤色の汚れた靴を雨で濡れた路面へ擦り付けた。
それが、この上なく醜い汚れであるかのように。
「おい、車ん中にあったヤツを持って来い。
あれだよあれ、後ろの方に押し込んであった、埃の被っているヤツ。」
木原が軽く手を伸ばすと、その動きに応じた装甲服の一人がダメ―ジを引きずるような動きで車の後部座席へ入って行った。
その中から取り出し、木原が受け取ったのは、金槌やノコギリなどが丸々収まった、ズシリと重たい工具箱だ。
「武器ってなぁ雑っつーか大雑把の方が効き目が高い。
暗殺用の非金属ナイフより材木用のチェーンソーの方がエグいみてぇにな。」
一方通行は倒れたまま、ろくにしゃべらない。
彼はただ木原の顔を見上げる。
「なぁ一方通行。
テメェは『アレ』の意味を理解してねぇんだよ。」
木原は笑う。
アレというのは、あの小さな少女以外に考えられない。
「大体よー、そもそも量産能力者開発計画だっけか。
軍用量産モデルとしてゴーサインを出たっつー時点
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