第145話
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『反射』という不可侵の能力すらも打ち砕き、この華奢な身体に重たいダメージを次々と叩き込んだ、あの二人。
「オマエ・・・・自分の身体に、超能力の、開発・・・・」
「ギャハハハ!
あーあー違う違う、そうじゃねぇよ。
何で俺が実験動物の真似事なんかしなくちゃならねぇんだ。
そういうのはモルモットの仕事だろうがよ。
これはそんなに大それたモンじぇねぇ。
あんな馬鹿げた力使わなくても、テメェ一人潰す事に苦労なんかしねえんだよ。
っつかよ、テメェみてぇな馬鹿一匹潰すのに何でそこまで身体張らなくちゃならねぇんだ?」
「・・・・・・」
「いや、気分が良いなぁ。
害虫駆除は気分が良い。
今日はコイツの調子も優れてっし。」
言いながら、木原はマイクロマニピュレータの指を開閉させる。
ピクリ、と一方通行の肩が震えた。
まだ終わらない。
ここで簡単に潰れる訳にはいかない。
一方通行はベクトルを制御し、バネのように地面から飛び上がった。
そのままがむしゃらに腕を振るう。
右腕に固定されていた、現代的なデザインの杖がすっぽ抜けるが、気にしてなどいられない。
木原数多に五本の指を叩きつける。
一度目は失敗したが、二度目は爪が木原のはめるグローブへと触れる。
ベクトルを一点に集中させ、機械で作られたグローブを粉々に砕く。
「!?」
木原が驚いた顔が、宙に浮かぶ残骸の向こうに見える。
そこへ一方通行に開いた五本の指を突き入れた。
必殺の腕は木原数多の顔面へ叩き込む。
だが。
「そっかそっか。
力の秘密はグローブだと思ったのか?」
首を振っただけで一方通行の一撃を軽々と避けた木原の顔に浮かぶのは、相変わらずの笑み。
「そうじゃねえんだわ!
ぎゃはは!
ごっめんねえ、期待させちゃったかなぁ!!」
ドッ!!と一方通行の脇腹に拳が突き刺さる。
吐き気が胃袋で爆発し、しかしそれすらも強引に押し留められる。
「ははっ!
いつまで最強気取ってやがんだぁ?
このスクラップ野郎が!!」
思わず身体がくの字に折れ曲がった所で、ちょうど前へ突き出す形になった頭へさらに拳が飛ぶ。
オモチャのように、彼の身体が路面に転がっていく。
「テメェの『反射』は絶対の壁じゃねぇだろうが。」
木原はゆっくりと歩いてくる。
その言葉に聞き覚えがあった。
忘れる筈のない、一方通行があの男に完敗した時だ。
お前の反射の壁は絶対じゃない。
あの男も同じような言葉を言っていた。
だが、あの男は物理法則を捻じ曲げると言う人間業ではない方法を使っていた。
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