第一章
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飾りじゃないのよ涙は
「あんた泣かないのね」
「それがどうかしたの?」
高校の帰り道にいつも一緒にいる女友達に言われた、そして私はその言葉に素っ気ない調子で返した。
「泣かなくて」
「女の子は結構泣くけれどね」
「特に泣く様なこと感じないから」
だからだとだ、私は彼女にまた素っ気なく返した。
「別にね」
「そうなのね」
「ええ、けれどそれで困ることはないから」
別にいい、私は彼にこうも言った。
「特にいいわ」
「そうなのね」
「そうよ、それで私を強いって言うのかしら」
「まあね」
そうだとだ、友達も返す。
「それはね」
「強い、ね」
私はその言葉にシニカルな笑顔になった、それで彼女に返した。
「私は自分が強いと思ったことはないわよ」
「そう?運動神経もいいし喧嘩だって負けたことないでしょ」
「しかも泣かないからっていうのね」
「芯も強いじゃない」
心もだというのだ、私の。
「だからね」
「そう思ってくれるのならそれでいいわ」
「何か投げやりね」
「私強くないから」
私は今度は遠い目になって彼女に述べた。
「別にね」
「そうなの?」
「ええ、自分で強いと思ったことはないから」
このことは本当のことだ、私は自分が強いと思ったことは一度もない。それどころか自分程弱い人間はいないと思っている。
けれど彼女に言ってもわからない、それでこう返すのだ。
「それでもあんたがそう思いたいならね」
「思っていいの」
「人が自分をどう思うかを止めることは出来ないわ」
こんなことは誰にも出来ない、好かれることも嫌われることも。だから私はそんなことも一切言わなかった。
「いいのよ」
「そうなのね、じゃあ」
「ええ、そう思いたいならね」
私は彼女にはこう返した、これは彼女だけでなく他の同級生も後輩も一緒だった。そして両親も兄弟もだった。
皆私が強いと思っている、まるでピアノ線みたいだと言われたこともある。外見は細いけれど中身は強い、だからだと。
けれど私は違う、そのことは彼氏も知らない。彼氏は私と一緒にいる時よく笑ってこんなことを言ってくる。
「御前と一緒にいるとな」
「どうだっていうの?」
「何か同級生と一緒にいるっていうよりも」
どうかというのだ。
「用心棒か秘書かな」
「高校生に言う言葉じゃないわよ」
「けれどそう思うんだよ」
「そうなの」
「ああ、あくまで俺がそう思うだけだけれどな」
「用心棒ね」
その高校生らしくない、誰がどう見てもそうとしか思えない例えに思わず苦笑いになってから私は答えた。
「面白い例えね」
「そうか?」
「ええ、そう思いたいのならね」
「思っていいんだよな」
「誰がどう思うか
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