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魔道戦記リリカルなのはANSUR〜Last codE〜
Myth5-Aアムルの守護騎士団〜Glauben OrdeN〜
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ないと――とは思うが、今は“夜天の書”の説明を最後まで聴こう。

「私に国を治める資格なんて無いんだよ。今はたださっき言った通りの事が出来ればいい」

「守りたいモノを守り、救いたいモノを救う、ですか。あの、主オーディン。無礼を承知で一つお聞きしたい事があるのですがよろしいでしょうか」

シャマルが申し訳なさそうな顔で、質問することへの許可を取ってきた。すると「シャマル!」とシグナムが声を荒げて、シャマルを制止しようとした。シャマルは「ごめんなさい、シグナム」と謝ったあとに私の目を見て、すぐに逸らした。私が居ない間に何かあったのだろうか。とりあえず「構わないよ」と返す。シャマルは意を決したかのようにまた私の目を見て、尋ねてきた。

「主オーディンはどうしてベルカを訪れたのでしょうか・・・? 申し訳ありません。ルファに聞きました。ですが詳細は聞いておりません」

「私がベルカを訪れたのは、ある存在を破壊するため。名はエグリゴリ。私の先祖が生み出した人型の戦術兵器だ。暴走している奴らをベルカで発見したという情報が仲間から入った。報告に従って、私はベルカを訪れたんだ。何故シュトゥラのアムルに居るかはあとで話そう」

洗脳され暴走しているとは言え、それでも大切な子供たち(ヴァルキリー)を兵器呼ばわりするのは心が痛むが、私とシェフィが創り出した子供だと説明するわけにもいかない。魔術師の時代も“アンスール”の時代も大戦の時代も、すでに遥かに遠き古き過去。この時代に引っ張ってくる必要のないものだ。だから真実は話さない。

「そうでしたか。お話ししてくださってありがとうございました。その、主オーディン。この無礼への罰は如何様にも。如何なる罰も受ける次第です」

「気にしないでいいよ、シャマル。この戦乱の世に好き好んで訪れる奴なんて普通いないから怪しく思うよな。その疑問を持つのも当然だ。だからお咎めは無し」

そう微笑みかけると、シャマルは少し呆けた後にホッと安堵を顔に浮かべた。しかしシグナムに頭を叩かれ、「痛っ?」と痛みに顔を歪めることに。

「今の無礼、主オーディンでなければ首を刎ねられていてもおかしくないぞ、馬鹿者」

「だって・・・。でも良かったです。主オーディンはやはり今までの主とは違うんですね・・・」

シャマルが過去を思い出しているのか悲しげに目を伏せた。私は右隣を飛行するシャマルの肩をポンと叩き、「この誓いは死ぬまで変わらない。だから安心してくれ」と言う。“界律の守護神テスタメント”時ならそんな温く甘い言葉は吐けないが、今は魔術師として存在を許されている。
だからその誓いを貫ける。だがその誓いの裏には、逃れられない闇があるのもまた事実。場合によっては、守るために、救うために誰かを殺さなければならないという闇。
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