暁 〜小説投稿サイト〜
SAO−−鼠と鴉と撫子と
33,戦場のメリークリスマス
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ムはSAOには存在しない。それが現在の通説だ。ゲームで死んだら現実の脳みそもレンジでチンされるシステムに蘇生の制度などない筈だ。

しかし、だからこそ蘇生アイテムの存在を信じる人々も存在する。
彼ら曰く、実は死亡の処理はまだ行われていない、とか。実は誰も死んじゃいない、とか。
まあ、その推測が間違っていることを俺は現実世界で見知っているのだけど。

「しかし、オメェ。情報ならアルゴの出番じゃねぇのか?」
「……初めてのクエじゃあ情報のとりようがネーヨ。NPCの話では蘇生アイテムがあるらしいけど、本当かかどーかは分からないナ」

SAO内の最高の情報屋ですら、この程度の情報しか持ち合わせていない。それがある意味ではこの騒動に拍車をかけている。
この一ヶ月ほど、全ての情報屋が死に物狂いで探し回っていた。
俺とアルゴもボスの情報を求めて走り回ったが、手に入るのはボスの名前ばかりで、報酬やボスのポップするモミの木の位置は掴むことが出来なかった。
普通ならこんな状況でやる気が無くなって然るべきだが、報酬の話ばかりが独り歩きし、今やほぼ全てのプレイヤーが参加する祭りの様な状況になってしまっていた。

「クロウ、オメェはどう思ってんだよ?」
「……あるかもしれない。そっちの方が悪趣味だからな」

そう言うと、二人は首を傾げた。
「悪趣味?あれば死んでも助かるんダゾ?」
「悪趣味だよ。49層まで1つもドロップしていないアイテムだ。当然、ドロップするとしたらSレア級のアイテムってことになる」

ここで、俺は一呼吸をおいた。
これからする質問は自分でもタチが悪いと思う。

「アルゴ、俺が死にそうだったら蘇生アイテムを使うか?」
「使うナ」
「じゃあ、クラインだったら?」
「……まあ、使うナ」
「その妙な沈黙は何だよ!!おめぇ、パッと答えろよ!!」

激高するクラインを横目に、俺はといえば即答してくれた事にホッとしていた。
自分勝手に逃げ出してからというもの、俺はアルゴに情けない姿を見せっぱなしだった。
とっくに愛想を尽かされていてもおかしくなかったのだが、そうじゃなくてよかった。
しかし、そういえばアルゴはこんな俺のどこを信じて相棒として行動してくれるんだろう?
ベータの時の一件があるにはあるけど、それだけじゃない気もするけどな。

「で、どーしてそんな事聞くんダ?」

と、本題はここからだ。

「じゃあ、例えば偶々目の前で死んだ奴相手にそれを使えるか?1つしかなくて、それを使えば次に俺やクラインが死んでも救けられなくなるかもしれないのに」
「う〜〜〜ん、それとっとくナ――って、そーカ。そーいうことカ!!」

俺は、それ以上の説明をせずにただ首を縦に振った。

持っているプレイヤーは助ける
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