暁 〜小説投稿サイト〜
無欠の刃
アカデミー編
はじめまして
[5/5]

[8]前話 [9] 最初 [2]次話
であったという事に、自らの思考を停止させるネジに、カトナは提案する。

 「いた、いから、はなし、て?」

 怯えた様子で身をすくめ、押し倒されているうえに胸に触れられている女子。
 そして、その女子の胸を、触っている。
 胸を、触っている。
 胸を、触って、いる。
 理解した事実に、ばっと、慌てて体を起こして、腕をのける。

「…す、まん」
「別に、へいっ、き」

 そう答えたカトナはぺたっと自分の胸に手を当てた。

「ちょっと、いたかった、だけ」

 へにゃっと眉を下げた彼女が困ったように笑う。
 今度こそ、ネジは固まった。

 「あれ。ひっ、日向。どうしたの? あれ?」

 カトナがネジの前で両手を振るが、ネジは全く反応しない。
 これがネジとカトナの、ある意味、最悪の邂逅であった。


・・


「って、ことがあって」
「ほう…」
「どうなったんだってば」

 びしりと、二人の額に浮かんだ青筋に気が付かないまま、カトナは首をかしげた。

「なんで、固まったんだろ」
「そうだな。お前が女だってことに驚いたんじゃねぇのか?」

 サスケが十枚の手裏剣を投げる。
 練習用として作られた、人体を模したサンドバックは、見事、人間でいうところの心臓に十枚すべて命中した。
 しかし、カトナは珍しいと目をしばたたかせる。
 いつもなら、違う急所にも同時で当てられるようにしているのだが、今日はそういう気分ではなかったのだろうか。
 あるいはネジの話を聞いたからだろうか。
 サスケの目に浮かぶ怒りをとらえたカトナは目を細める。
 赤い瞳に穏やかな光が浮かんだ瞬間、ぱちりと火花がはじけたような音がした。
 いま気にするのはサスケじゃないと囁く声がして、それもそうだと思いなおしたカトナはナルトに目をやる。

「カトナ、胸、大丈夫だったってば?」
「大丈夫、だよ。隠して、くれる、って」
「そういうことじゃないんだってばよー」

 いつものような笑顔でそう言いながらも、なるとは目の前のサンドバックを蹴り飛ばした。
 壊れないようにと頑丈に作られたはずのそのサンドバックは、一瞬、体から溢れた赤いチャクラに触れ、発火する。
 ナルトガチャクラを使うのなんてあの事件以来だと考えてから、カトナはふわりと笑みを浮かべた。

 「それに、友達になって、くれた。よ」

 その言葉に、二人は一瞬のうちに目くばせをしあう。

(サスケ、葬るってば)
(言われなくとも)

 うずまきナルト、十一歳。立派にシスコンの道を目指し始め、同じく十一歳のうちはサスケは、初恋を更にこじらせようとしていた。
[8]前話 [9] 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ