第一部 学園都市篇
第2章 幻想御手事件
20.July・Night:『The Jabberwock』
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に頭を『交戦』に切り替え、闇に融けるように立つ黒豹を捉えた。
………………
…………
……
そんなやり取りを、黒豹は車の男から奪ったインカムで聞いていた。残るは二人、約二十メートル先のジュラルミンケースの男と、何処かに潜む狙撃手。
『おお、憐れな憐れな卵男爵ニャア。眠り鼠は夢の中、転んだら一人じゃ起き上がれないナ〜ゴ』
その内――――黒豹はジッパーの口許を僅かに拡げて煙草を銜えつつ、ジュラルミンケースの男に向き直った。
『位置についてニャア……よ〜い――――』
片足を狙撃手の側に置いた鉛の卵に乗せて、空いた左手を『銃』のよう指を伸ばして――――。
……学園都市の技術は、この都市を囲む塀の外の数世代もの先を行く。そしてそれは学園都市の財産であり、外に出る事はまず有り得ない。もし出たとしても、それは大分型落ちした、学園都市内では旧世代の遺物と成り果てたような技術。それでも外の最先端よりも先をいくと言うのだから、驚きである。
だからこそ、それを外に持ち出す事で一攫千金を目論む企業や個人は跡を立たない。
彼等も、そんな一部。一度でも成功させれば、その先数年は遊んで暮らせる密貿易を目論んでいるのである。
『捉えた――――巫山戯た格好をしやがって、残飯漁りが!』
狙撃手もまた、直ぐさま黒豹をスコープに捉えた。その額に向けて照準を合わせ、引鉄を絞る――――!
『ドン、ナ〜ゴ!』
よりも早く、黒豹が号令を掛けたその刹那――――黒豹の足下の卵が弾け跳んだ。その応酬、狙撃手が見た光景は、ほんのコンマ数秒以下の世界。
明らかに遅れて射ち出されたライフル弾、それを軽々と弾いて疾駆するのは――――。
『兎――――』
その一言を最後に、男の認識は闇に閉ざされる――――。
………………
…………
……
弾け跳んだ、狙撃手が居る筈のビルの屋上を呆然と眺め、ジュラルミンケースの男は一歩後ずさる。もう、距離は五メートル以下。
『まぁったく、三月躁兎にも困ったもんだニャア、狂い帽子屋。完璧にフライングだニャア、やり直しを要求するナ〜ゴ』
「なっ……何なんだ、お前はァァァッ!!」
目前まで迫った、紫煙を燻らせる黒豹の姿に――――その頭上に浮かんでいた、半透明の硝子の帽子のような形状の複眼型センサー群を持った怪物を、テンガロンハットのように被る黒豹に完全に気圧されて。
懐からサバイバルナイフを抜き放ち、突き付ける。
「ああ、煩い……なんて煩わしい。黙れ、永久に口を閉ざせ」
それに、黒豹は今
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