第一部 学園都市篇
第2章 幻想御手事件
20.July・Night:『The Jabberwock』
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なかったかのように。
――やっぱり、日輪の下よりはこっちの方が俺好みだな。この月の光が、この暗闇が。俺に力をくれる気がする……。
気を取り直して再度確認した懐中時計は、午後七時二十五分。そろそろ、時間だ。
「――『目立つ事をして待ってなさい』、か。それじゃあ精々、目立とうかねぇ?」
煙草を吸い終えて携帯灰皿に躙り、懐に仕舞って――――代わりに、『それ』を取り出した…………。
………………
…………
……
まだ明るい駅前を歩く二人は、駅前広場の時計で時刻を確認する。午後七時二十五分、行動を開始するにはいい頃合いだ。
「――――結局、私らに新入りなんていらない訳よ」
「…………」
と。唐突に、その二人の内一人……不満そうに唇を尖らせた金髪碧眼の少女がブー垂れる。
だが、その隣を歩くオレンジ色のフードの少女……右手で携帯を保持して耳に当てている少女は、むっつりと黙りこくっているだけだ。
「大体、おかしいのよ。いくら命令だからってさ、あたしら四人のコンビネーションは結局、完璧と言っていいレベルな訳だし」
「…………」
「どう考えても蛇足って奴なのよ。あんたもそう思うでしょ、絹旗?」
それにも構わず、金髪の少女は滔々と文句を述べ続ける。だがやはり、『絹旗』と呼ばれたホットパンツにフードの少女はそれを――――
「……超いい加減にしてもらえますか、フレンダ。コンビネーションがどうとかもっともらしい事言って、どうせ文句があるのはギャラの配分が超減る事でしょう?」
「ギクッ……い、いや、そんな訳ない訳よ! だってさぁ、結局、見ず知らずの、しかも男なんて――――」
フレンダと呼ばれた帽子にミニスカートの金髪少女は、自分より年下の絹旗の、ジト目での突っ込みに図星を突かれたらしく動揺しつつ話を逸らす。
丁度そこで、携帯の方に動きがあった。繋がったのだ。
「あ、もしもし、滝壺ですか? はい、絹旗です。今から、対象を超探します」
絹旗はそれに視線を逸らし、フレンダは九死に一生を得たように嘆息する。
「はい、麦野の指示通り『超目立つ事をして待て』と超伝えてあります。まぁ、格好からしてもう目立つと思うんですが……」
「『超目立つ事』ねぇ……結局、どんな事してるんだか。面白そうだからさ、見付けたら暫く放っといてみたりしない?」
通話口の絹旗にまたもフレンダは話し掛けて、『にひっ』とばかりに笑う。
そんな風に駄弁り、通話しながら歩いていると言うのに、二人は他の通行人にぶつかるどころか掠りもしない。何かの催し物の為か、やたらと集まっている人混みの中ですら。
「……フレンダ、これは遊びじゃなくて仕事です。そう言うのは超慎んで――――」
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