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或る皇国将校の回想録
第一部北領戦役
第八話 川は深く・対岸は遠く
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も物資・糧秣の枯渇はこれから更に酷くなります。
物資は奥津・・・北端の港に届いているでしょうが此処に届く迄には相当時間が掛かるでしょう」

「此処で持久戦になればそれまでに戦闘不可能になると」

「その通りです。だからこそ敵は此方が失敗する可能性に賭けて罠だと理解している橋を渡らせるでしょう」

「成程ね。 橋のあるなしでは大違いだ、目の前で橋が落ちれば士気も下がる。部隊を巻き込めば尚更だ、この陣地で凌げるな。
――不発だったら砲兵に手間取らせる事になりそうだが」
 そう云いながらも逡巡し、新城の提案に頷いた。

 ――豊久は指揮官としては有能だが堅実さを重んじ過ぎる所がある。
 ――優位に立ってから叩き潰す その定石に忠実なのだ。
あくまで程度の問題だ。経験が解決するだろう。

「我々も本部に戻るか。
この苗川、見掛け以上に深く、此岸は遠いぞ・・・」
大隊長は悪辣な笑みを浮かべながら身を翻した。


皇紀五百六十八年二月二十日 午後一刻
シュヴェーリン,ユーリィ・ティラノヴィッチ・ド・アンヴァラール少将は
指揮下の先遣隊約8400名に苗川渡河を命じた。


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