暁 〜小説投稿サイト〜
ワンピース〜ただ側で〜
番外12話『約束の時』
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 気付くのが遅すぎた。回避行動が絶対に間に合わないタイミングだ。
 ここまで不意を突かれてしまってはクロコダイルとて成すすべがない。来るべきハントの一撃に身構えようとして、だがすぐに気づいた。
 ハントの動きが鈍い。しかも圧倒的に。だから、反射的にクロコダイルは腕を振るった。

「砂漠の金剛宝刀!」

 至近距離で、カウンターのように放たれた4枚の砂の刃。
 それが、クロコダイルの顔面へと迫っていたハントの右拳へと1枚。
 既に開いてしまっている腹部へとさらに2枚。
 ハントが踏み込もうとしていた右足にも1枚。
 それら全てがハントへと直撃した。つい先ほどに砂漠の宝刀で飛び散った血の量とは比べ物にならないほどの量が飛び散った。
 砂漠の金剛宝刀によって切り裂かれて、その勢いのままに流砂の穴に落ちるのでは、という寸前まで弾き飛ばされる。

「砂漠の宝刀に直撃しておいて砂嵐を消したのはなかなかだったが……それで限界だったようだな」

 クロコダイルの技はそのすべてが研ぎ澄まされている。
 1枚の宝刀だけでも常人ならば死んでしまうだろう。
 ハントはそれに加えて金剛宝刀まで喰らってしまった。生きているはずがないし、よしんば生きていられても既に虫の息といったところ。これでももし立ち上がれたらそれはもう人間ではないだろう。

「……」

 さすがに反応がないことを確認したクロコダイルが、ハントをそのまま流砂に蹴落とそうと近づいたところで「……だ」ハントの声が漏れた。

 ――気のせいか? 

 そう考えつつも、本能的にハントから距離をとったクロコダイルだったが、すぐに自分の耳は正常だったことを思い知らされることとなった。

「……なん……だと?」

 驚愕、いや、恐怖に近いのかもしれない。
 まるで化け物を見るかのように目で、クロコダイルはそれを見つめる。
 いや、クロコダイルの性格ならば化け物を見ただけではそんな目はしない。
 ならば、化け物以上の存在か。

「……ま……だ……だ」

 ゆっくりと。
 それはうつろな目で立ち上がった。
 拳、腹、足、それに頬。
 あらゆる箇所から血を流し、特に腹からは見ているだけで気が遠くなるほどの血が衣服を染めて流れ落ちている。
 ただただありえない光景が、クロコダイルの目の前にあった。
 真っ青な顔、虚ろな目、血だらけの体、そして片足の自由が効かないせいか、ぎこちのないゆっくりとした1歩でクロコダイルへと歩み寄る姿は出来そこないのゾンビそのもの。

「やくそく……したん、だ」

 ビビに、クロコダイルを倒すとハントは約束をした。
 トトに、黒幕を倒すとも言った。
 檻にいる仲間たちを放置したのもクロコダイルを倒すためで、それを約束して
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