暁 〜小説投稿サイト〜
ワンピース〜ただ側で〜
番外12話『約束の時』
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せる砂嵐の遠心力に取り込まれ、巻き込まれた。

「うお!?」

 足から体ごと持っていかれて、砂嵐に振り回される。ただしこの砂嵐は小さめで、砂嵐に完全に飲み込まれるわけでもなく、その外円部を半周ほど回った段階でそのまま弾き飛ばされた。

「……いってて」

 反射的に武装色で全身をガードはしたもののその右頬が軽く砂に削り取られて流血。とはいえあくまでも表面的な傷なので痛みだけで、大した怪我でもない。ただ、クロコダイルからはまた距離をとられてしまっていた。
 これもクロコダイルの狙い通りなのだろう……かと思えばそうでもないらしい。

「ちっ」

 距離を離すことに成功したことはともかく、今ので有効打を与えられなかったこと自体はクロコダイルにとっても喜ばしいことではないらしく、小さな舌打ちがでた。もちろん砂嵐の音に消える程度の音量だったが。

 クロコダイルの感情の発露に、ただハントはハントで気付かずに「……全っ然近づけないし」と、思い通りの戦闘運びが出来ないことに、ここにきてハントが初めて苛立たしげに呟いた。
 お互いがお互いに対して不快そうに、『砂漠の向日葵』で出来た流砂を挟んで向かい合う。
 いつ相手が仕掛けるかもわからないうえに、この距離ならば彼らならほとんどノータイムで攻撃できるため両者ともにその表情は不快なそれ以上に真剣そのもの、鋭い気配が発せられている。

 ――武装色で固めて突っ込んでみるか?

 戦闘自体では押しているはずなのに、決められない。
 そのことに埒が明かないと考えたハントが武装色で身を固めて相打ち覚悟で大技をぶち込むことを視野に入れる。

 ――このまま慎重にいくか……なんちゃって奥義で賭けに出るか?

 数秒前に比べて随分と規模が増した砂嵐がゆっくりと通り過ぎていく様をみながらどう戦うべきかを悩んでいたハントだったが、そこで彼はそれに気付いた。ハントが幼少時代に狩りにいそしんでいたという経験も、きっと彼にそれを気づかせた原因だろう。

 北から南へ吹いている風の向き。
 それに乗って南下し始めている砂嵐。
 ここから南に下ったところに位置している町。
 その町に砂嵐を仕掛けてきたというクロコダイルの言葉。
 それら一切が結びつき――

「……砂嵐……この方角……『ユバ』?」 

 ――気付いてしまった。

『ユバ』にはトトがいる。

 理由はそれだけしかないが、『ユバ』の町で言葉を交わしたハントからすればそれだけで十分だった。

『頼む、ビビちゃん。あのバカどもを止めてくれ!』
『国王様はこの国が好きで、民衆を大事にして、そういう人で、国王様がそんなことをするわけがないから。するわけがないとわかっているから』
『あの子が無茶をしないか心配だよ』
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