番外12話『約束の時』
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ろんNO。クロコダイルがそんな迂闊なミスをするはずがない。
クロコダイルの狙いは相打ち。例え先に攻撃を喰らっても自分の一撃を相手に与えることが出来ればそれでよいという捨て身の一撃が狙い。
もしもこれが相打ちになればダメージ自体は顔面に攻撃を受けることになるクロコダイルのほうこそ大きそうなものだが、それこそが罠。三日月形砂丘という触れた部分の水分を根こそぎ奪い、その部分をミイラ化させるという非常に危険な技でハントの体の水分を根こそぎ奪ってしまおうというクロコダイルの算段だ。
5千枚瓦正拳の一撃を受けてもまだ動けなくなるわけではないと判断したクロコダイルの捨て身の一撃に、見聞色を発動していたハントがその危険性に気づいた。
――ミイラ化かよ!
内心で毒づき、慌てて拳を止めた。腹部へと殺到していた砂の腕を、覇気で固めた手でしっかりと受け止めて水分を奪われることを防ぐ。結果的に懐に潜り込むことに成功したハントがさらなる技を仕掛けようとして、既にクロコダイルが体を砂にして空中へと逃げ込み始めていることに気づいた。
――技を使うと逃げられるか。
魚人空手陸式はほんの一瞬だが溜めがある。今までハントの身体能力と覇気、それに相手がついてこれていないという条件がそろっていなかったのでそれらが浮き彫りになったことはなかったが、クロコダイルはやはり違う。
ほぼ一瞬の溜めがあるというのは既に理解した上で動き、致命的な一撃を受けることだけは徹底的に避けている。
とはいえ、普通の一撃ならばその溜めすらないわけで。
拳を、上空へと逃れようとしていたクロコダイルの顎めがけて解き放った。
「……っ!」
ハントの黒い拳を避けきれずに顎から上空へと打ち上げられたクロコダイル。それを好機と見たハントがそのまま空中で追撃を加えようと跳ねたが、既にクロコダイルはハントの気配を察知して空中でその体をまた砂へと分解させ――
「ふっ!」
――分解されたはずの砂へと、サッカーでいうオーバヘッドキックの要領で黒い足を叩き付けた。
普通に考えれば意味のないはずのその一撃はクロコダイルの顔を砂漠のそれから本来のそれへと強制的に戻し、そのままクロコダイルを砂漠の大地へとたたきつけた。地面が砂のクッションとはいえ普通の人間ならばその衝撃でもダメージになるだろうが、自然系のクロコダイルがそれでダメージを受けるはずもない。
体が砂になり、はじけて、またすぐに戻ろうとする。
元の体に戻るまでにかかる時間はほんのわずか。まばたき一回よりも短い時間だろうか。
空中にいるハントがそんな時間で地面に足が下りるわけがない。
「かかったな」
戻った体で、クロコダイルがほくそ笑んだ。
砂の地面に両足で立
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