番外12話『約束の時』
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来た。
ジンベエに、王下七武海であるジンベエを超えると誓った。
「かつ」
ハントもただこれまでの航路を楽しんできたわけではない。
ルフィやゾロのような強さを得たいと思ってきた。
「……かつん、だ」
ここで諦めるわけにはいかなかった。
なにせ、ハントは言ったのだ。
麦わらの一味だからこそ、俺を信じろと、ビビにそう言った。
自分で言ったのだ。
この左手の×印と包帯に誓って、ハントは約束した。
一味であることを引き合いに出してその約束を守れないなんてことがあっていいはずがない。
ハントにとって、これは絶対に破ってはいけない約束で、絶対に守らなければいけない約束で。
だから。
クロコダイルを倒し、きっとサンジやチョッパーの力で無事に檻から抜け出したであろうみんなと笑って会うためにも。
ハントはまた一歩を踏み出す。
「ぜったいに……まけて……たまる……かよっ」
力のない声で、血と共に言葉を吐き捨てる。
――何人、いるんだよ。
はっきりとしない視界で、既にハントの目にはクロコダイルが何人も存在しているかのようにすら見えている。
――全員、ぶん殴ってやる。
「魚人空手りく……しき」
のっそりと構えるハント。血だらけで、それでも動くハントはまさに化け物の様相。
相手が常人ならばそれの気迫に押されることもあるだろう。だが、相手はクロコダイルで、そのクロコダイルがいつまでも悠長なことをしているはずがなかった。気付けばクロコダイルの目はいつもの冷酷なそれそのもの。
「……」
砂となってハントの横に立つ。ただ、無言で。クロコダイルの案の定、もうハントの目には彼の姿は映っていない。不思議そうに、慌てているとは思えない速度で首を巡らせようとしている。
「久々に骨があると思ったが……実力もないくせに戦闘中によそ見をするただの負け犬だったとはな。麦わらなんて駆け出しの海賊にいるのも納得だぜ」
「……っ」
耳は正常らしく、ハントが息を呑んだ。音のした方向へと体を向き直らせ――
「――くたばれ」
言葉と共に、ただ殴られた。
「ま…………だ――」
自分が敷いた赤い砂地に倒れこみ、言葉を漏らす。どうにか立ち上がろうとして、だが立ち上がれない。
――全然力が入らないぞ、これ。
「ふん、サソリの毒を使うまでもなかったか」
徐々に遠のく意識の中。
「――ハントーーーーーっ!」
――……ルフィ?
ルフィの声がハントの耳に届いていた。
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