胃に優しくないランチタイム 後編
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「あははは、冗談よ。やっぱり気のせいね、変なこと訊いてゴメンね?」
「いえ、いいです…」
もう、早くフライ持って席に戻ってくれ。食事中だってのに、さっきから俺の胃が重くなる一方で困ってるんだからさ…
「それじゃ、ありがとね〜♪」
持ってた皿に乗ってた生姜焼きを俺たちの皿に移し、空いたスペースにフライをポポポンと乗せていく楯無。そして、満足するまで自分の皿によそい終えた彼女は踵を返して席に戻って行った。やっと安心して食事の続きができそうだ…
―――ヒュオッ、パシッ!!
「ッ!?」
と、思った矢先にこれか。いきなり風を斬る音が聴こえたと思ったら、何かが飛んできたので俺は反射的にそれを受け止めた。空いていた俺の左手には、一本の箸が握られていた。
「あ、やべ…」
素人ならば絶対に受け止めれない、避けれないタイミングとスピードで投げられたそれを俺は受け止めてしまった。アイツの目の前で…
「あらら、ゴメンね〜。お姉さん、手を滑らせちゃった♪」
「「……。」」
どこの世界に手を滑らせながら人の目玉向けて箸を投げてくる奴が居るんだよ。ていうか、謀ったな?胡散臭いニコニコ笑顔が悪戯が成功した時のニヤニヤに変わってるぞ…
「それじゃ、今度こそ失礼〜♪」
そしてニヤニヤした表情のまま楯無は本当に席に戻って行った。俺のストマックが悲鳴を上げているが、敢えてここは平常心だ。最後まで頑張れ、俺…
「あ、そうそう…次に会う時は絶対に逃がさないわよ?……“熊さん”…」
やっぱり頑張れない気がする…
◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「……食った物の味が思い出せない…」
「ドンマイだ…」
美味かったことは覚えてるんだけど、細かい味が無限の彼方に行ってしまった。これからの事を考えると、当分はこの憂鬱が続きそうである…
「ま、まぁポジティブに考えろ!! ほら、結局アイツは何もしないで帰ったろ…?」
「そうだけどな…」
明らかに俺の事に気付いてたっぽいが、楯無は結局あの後は普通に食事を済ませて帰って行った。応援でも呼びにいったのかと思ったが、そうでも無いようだ…
「半ば確信しているものの、証拠が無いから今日はやめといたってとこか。下手に手をだしたら実は本当に民間人でした、だったら洒落にならないもんな…」
現場でものを言うのは勘だが、周囲の人間が関わってくるとそうも言ってられない。裏の人間ほど、そう
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