雪原と花畑
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少女の目には透けた画像が見えていた。
「私……何で生きているの?」
「もしかして、記憶が戻ったのっ!!」
そう言うのが早かったか、両手を握られ、息をするのも躊躇われるぐらい顔を覗き込まれ、思わず鼓動が大きく跳ねる。
それはまだあどけないながらも目鼻立ちの整った少年だからか……それとも、記憶の中にある誰かの瞳を思い起こさせるからだろうか…。
「あなたは……あの小鹿、なの?」
「っ!?」
双黒の瞳は十もの年月を経た己の姿を映している。
この色を誰よりも見つめていたのだ、間違うはずがない。
この場で倒れて……その後は一体どうなってしまったのだろう?
幼い記憶は見事にアレだけを繰り抜かれ、アズウェルと共に何とか店を盛り立てようと四苦八苦していたのが脳内を占めていた。
「……ずっと、……ずっと探していた」
躊躇うように、今にでも溢れ出してしまいそうな想いを抑えるように、コンラッドはゆっくりと語り出した。
猟師の三男坊に産まれた彼は幼くしてその才を発揮した。
だが、それは早すぎ、周囲から賞賛を浴びる頃にはすっかりその気になっていた。
しかし、暗闇ではさすがに獲物を狩るのは無理だろうと誰かが言い、子供ながらにムキになったコンラッドはその夜家を飛び出し、眠気を堪え真っ暗な森の中を一人さまよい、……あの人に出会った。
「あの人って?」
「女神様だよ」
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