伊月「俺は妹のために、アンタらとやり合う。これは必然なんだよ、クソッたれが」
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めに戦う主人公じゃないし。
けど、今は違う。
俺は今日妹に、あの志乃に誘われて(?)カラオケに来てんだよ。あいつが、俺との時間を作ってくれたんだよ。それなのに、派手にぶち壊して。
確かに、事件を起こした奴らにとってはそんな事、知ったこっちゃない。俺と志乃がここにいるのは、ある意味偶然なんだからな。
だから、これは俺の逆恨みだ。これは俺と志乃の大事な時間をぶち壊した罰であり、あいつを助けるという、兄貴としての義務でもある。
すなわち、
「俺は妹のために、アンタらをぶっ飛ばす。これは必然なんだよ、クソッたれが」
その言葉に、占領された店内は凍りつく。誰もが、俺を見て固まっていた。
そんな中、まず最初に口を開いたのは犯行グループの一人だった。顔には怒りやら焦りやらが浮かび上がり、俺を撃退させようとしているのは明らかだった。
「おい手前、何抜かした事言ってんだよおい」
そいつは、ジャケットから折り畳み式のナイフを取り出し、俺に刃を向けてきた。しかも、その後ろからもう二人の男が来てるし。
三対一か。でも、俺の刺又の方がリーチは長い。この狭い通路なら一人一人での応戦になる。結局タイマンだな。
ここで余裕が生まれた俺は、一番前にいる男に応戦すべく、得物を構え直すのだが、そこで一つの違和感を掴み取った。
何だ?どうして?
何で、あいつら笑ってんだ?
そんな俺の素朴な疑問は、次の男達の行動によって解ける事になる。
男達は、身体を通路と平行するように――俺から見て半開きになるように――して、通路全体に己の身体を押し込めたのだ。
ここの通路は、最大でも二人ぐらいが横に歩ける程度だと踏んでいたので、三人一斉に通路に並ぶという単純な考えを俺は捨てていた。盲点だった。
けれど、だからと言って俺がピンチなわけじゃない。
確かに、相手は刺又なんかより凶器である刃物を所持している。食らえば致命傷では済まされないだろう。病院送りは確実といえる。そして何より、
志乃を無事に退避させる事が出来なくなる。
それは、俺が相手とやり合う事に意味が成さなくなる事を意味している。これを無駄足と言わせるわけにはいかないのだ。
しかし、ナイフというのは超近距離の武器で、敵の懐に飛び込んで、初めてその力が盛大に発揮されるものだ。
つまり、俺のすぐそばまで来なければ、俺を倒す事が出来ないわけだ。……厨二病っぽくなったが、あえて何も言わない。
俺には刺又というナイフなんかよりずっと安全でずっと長い武器を手にしている。俺にだって勝ち目はあるんだよ。
その時、男達がその身体を互いに押し合いながらこちらに走ってくる。つか、
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