暁 〜小説投稿サイト〜
相棒は妹
志乃「兄貴はガラスのハートでチキン野郎だから」
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ぐらいの頃は志乃と喋っていた。それを特に変だとも思わず、自然と言葉のキャッチボールをしていた。

 だが、いつの間にか俺と志乃の関係は疎遠になっていた。同じ屋根の下で暮らしているのに、会話といえる会話をしない。どちらとも、話そうという気が無い。

 正直、気にしていなかった。別に家族と旅行に出かける事も無かったし、何より俺達は互いに忙しかった。そのため、会話そのものの存在も忘れてしまっていたのだ。

 今、こうして再び喋るようになって、俺は嬉しかった。だがそれは、喋るという行為が出来たからであって、そうしたいという願望は無かった。

 それから四月に入り、同じ学校に通う事になった。何故か同じクラスになってしまい、俺の事情を話された……。ん?

 俺はそこで、モヤモヤについて考える。

 俺は何に感情を伸ばしてる?怒り?焦り?悲しみ?

 あの妹なら何か知っているかもしれない。なにせ、今の俺を作り上げた張本人だし。

 明日、ちょっと話してみるか。そうすれば、俺の中のモヤモヤが取れるかもしれないし。


 「まだ寝てなかったの?」

 その時、開いた自室のドアの方から声がする。間違いなく、妹のものだった。

 ピンクのパジャマを着て眠たそうにしている。トイレの水の音がするので、寝る前にトイレに行ったのだろう。にしても、体操服以外の衣服を着てるこいつは久しぶりに見たな。


 「……ちょっと考え事をしててな」

 「入学式の事?」

 「……っ」

 こいつ、やっぱ鋭いな。女の勘ってやつか?

 俺は、さっきの事をこいつに言おうか悩んでいた。言ったところで解決にまでは結びつかないかもしれない。だが、話してみるだけマシだろうか。

 そんな事を考えていると、志乃の方から話しかけてきた。


 「やっぱり。兄貴、ガラスのハートのチキン野郎だから、この先の事考えてたんでしょ」

 合ってるけど酷い。酷過ぎる。

 俺はコホンと咳をして、口を開く。

 「そうだよ。チキンだかどうかはさておき、この先の事考えてた。そもそも、何でお前は俺の事を言ったんだ?」

 それも、五番目の自己紹介の段階で。好きな人の欄に俺の事情をぶち込む意味ある?

 すると、志乃は目を丸くして俺を凝視していた。今俺、なんか変な事言ったか?単純に質問しただけなんだけど。

 その旨をジト目で伝えるも、志乃は呆れて溜息を吐く。なんか腹立つな。こっちはマジで悩んでるのに。

 「……兄貴、もしかして自分が年上って事、最初から言う気無かった?」

 は?こいつ何言ってんの?言うわけないじゃん。何で俺がわざわざ人目を浴びるような真似しなくちゃならないんだよ。そんなの求めちゃいないぞ。

 「当た
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