EPISODE12 日常〜鈴編〜
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「ライ〜いる〜?」
部屋で本を読んでいると外から鈴の声がした。教師と同室なのになんの遠慮もなく堂々と来るのはたぶん同居者が山田先生だからだろう。
だが彼女は今職員会議で留守。帰ってくるのは夕方だ。
「開いてるから入ってくれ」
扉が開いて鈴が入ってきた。服が制服ではなくラフなジャージ姿なのは今日が休みだから。まだあの事件から学校のカリキュラムは滞ったままだ。
「珍しいな。きみから僕の部屋にくるなんて」
「暇だったけど一夏はなんか髪とにらめっこしながらうな垂れてたから」
たぶん昨日やった訓練の時にやってしまったアリーナのバリア破壊だろう。僕との訓練中に零落白夜を使って勢いあまってそのままアリーナのバリアを誤って破壊してしまったのが原因だ。
僕のベッドに腰掛ける。本を閉じて枕元に置いて二人分のマグカップを用意。一つは自分用、もう一つは来客用だ。中身に粉末を入れてお湯を注ぐ。スプーンでかき混ぜながらミルクを適量注いで出来上がりだ。
「はい、ココア」
「ありがとう」
鈴に渡して一口飲む。
「あ〜・・・・癒される。これがインスタントの味だなんて信じられないわね」
「まるでおじさんみたいだな」
思わず笑ってしまう。
凰鈴音。中国代表候補生で甲龍のパイロット。彼女といたとき、僕は彼女に記憶の欠片を垣間見た。誰かとかわした大切な約束の記憶。それがなんなのかいまだにわからないが、少なくとも鈴には僕の知っている人物の誰かに似ているのかもしれない。
「・・・・」
「・・・・な、なによ。ひとの顔見つめてきて・・・・」
あのビジョンで、僕はなにかを約束した。何かを・・・・教える約束を・・・・。
(なっ、なんなのよもォ!?そんなに見つめられると・・・・!)
「・・・・鈴」
「ひゃい!?」
「リボン、いつもと違うんだな」
「リボン・・・・ああ、これ。え、あんたまさかそれであたしのことジッと見つめてたわけ?」
「ああ」
鈴がため息をついた。疲れているんだろうか?セシリアといい鈴といい、この年の女の子が疲れをため込むものじゃない。
「ジジくさいわね」
「むう」
◇
「あ〜。ココアがおいしい」
「そんなにいいのか?」
「かなりね」
自分じゃわからないのだが、彼女やほかのみんなも言ってくれているからいいのだろう。ココアの甘い香りが部屋の中を包む。
鈴、はにゃ〜ん状態。表情がコロコロ変わって見てて飽きない。年頃の妹とかいたらこんな感じなんだろうか?
「けど退屈ね〜」
「勉強でもしたら
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