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空を見上げる白き蓮 別事象『幽州√』
第二話 彼の思惑は彼女達の為に
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カと桃色巨乳」
「ええっ!? 私が立てばいいだけ――――」
「関羽」

 どうやら劉備も同じ事を考えていたらしく、関靖の一言で口を噤む。
 関羽は盛大なため息を吐いた後、困った顔で劉備の方を向いた。

「桃香様……客人との会合だというのにあなたが立ってどうするのですか……」
「にゃはは! お姉ちゃんは相変わらずなのだ」
「関羽も気を使わないでいいです」
「いえ、私は主の後ろで構いません。お気づかい無く」

 律儀な人だ。生真面目な雰囲気から、何処かその方がいいような気にさせられる。
 また関靖がため息を一つ。何も言わずに椅子を、俺が座るであろう席の横に引き、ストンと腰を下ろした。それを見て関羽が劉備の後ろに立ち、劉備と張飛が座る。俺は劉備に正対して座った。
 なんで関靖が苛立っているのか全く分からない。それに生理的に受け付けないってのがなんなのかも、まだ分からない。
 とりあえず話を始めようか。

「劉備殿、でよろしいですか?」
「は、はい。構いません」
「では劉備殿。まずは先の賊討伐、お疲れ様です。大勝だったそうで」
「ありがとうございます。皆が力を合わせてくれたから被害も少なく抑えられました。特に愛紗ちゃんと鈴々ちゃん……あ、二人の事なんですけど凄かったんですよー? 兵隊さん達を手足のように指揮して悪い人達をあっと言う間に――――」
「と、桃香様。我らの話はいいので落ち着いてください」
「ご、ごめんなさい徐晃さん。そんな感じでした」

 うん。なんでこんな普通そうな子が劉備なんだ。関羽とか張飛とは違って隙だらけだから武力も無さそうだし、前線での指揮官は無理だろう。

「いえいえ、いいですよ。仲がいいというのはそれだけ部下と信頼関係が強い証拠ですから」
「へ? 部下?」

 間の抜けた声だった。俺は何か間違った事を言ったのか?
 関靖に目を向けると眉間に皺を寄せて目を瞑っていた。何故、劉備がこんな返答をしたか分かってるようだ。

「義勇軍の大将とその部下二人でしょう?」
「ふふ、違いますよー。愛紗ちゃんと鈴々ちゃんは一緒に人を助ける為に戦ってくれる仲間です」
「仲間であっても私はあなたの臣です」
「もう、そういう事じゃなくて……うーん、どう言ったらいいのかなー……」

 ふんわりと為されていく会話はさらに空気を緩める。ニコニコと楽しそうに、頭に手をやって悩む劉備を見ている張飛。関羽でさえ、あなたという人は、というように首を振って受け入れていた。
 上の人間が分け隔てなく接し、その在り方で人を惹きつけて行く。兵にも、民にもこうやって笑顔を振りまいているのか。
 これがこの世界の劉備か。なんとも……

――足りない。

 気付くと関靖が俺の事をじっと見ていた。推し量ろうと、心
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