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空を見上げる白き蓮 別事象『幽州√』
第二話 彼の思惑は彼女達の為に
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なのだ。殺すつもりくらいでないとお互い本当の実力等出せんよ。まあ、秋斗殿は私の実力を信頼して繰り出した攻撃だったようだが」
「あれでですか!?」

 小さく苦笑した星は牡丹に言葉を返さず。そのまま秋斗を真剣な目で見やった。

「足首への一撃。刃に当たる前に、いや、止められるように最初から力を抜いておりましたな?」
「試合だからな。星も空中からの一撃は急所をずらしてただろ?」
「そ、そうなんですか?」

 殺し合いに見えていた戦いが試合の域だと言われて、牡丹は目を真ん丸にして驚く。

「秋斗殿が斬るつもりで力を込めていたら武器ごと吹き飛んでいたさ」
「星が殺すつもりで急所を突きに来てたら肩なり腹なり貫かれてただろうよ。ってかやっぱりばれてたか」
「ふふ、目付けが出来るのはあなただけでは無いのは当然のこと。それに信頼してくださればこそ、私も全力で試合を行ったまで。どうせ初めにいなしていたのも、私の実力を正確に把握するためだったのでしょう?」
「ああ、自分が星相手にどれくらい戦えるかも知りたくてさ。武人同士の試合の感じも掴めなかったし……試してたように見えたなら、ごめん」
「いえいえ、私も徐々に力を上げておりましたゆえ、おあいこという事で」

 楽しそうに笑い合う二人を見て、牡丹の心にもやもやが募る。

――それなら……二人を心配した私がバカみたいじゃないですか。

 自分の心配など全くの無駄だったと分かり、むぅーっと口を尖らせてツンと二人にそっぽを向いた。 

「どうした?」
「フン! もう知りません! 心行くまで二人で殺し合っていればいいんです!」

 肩をいからせて、牡丹は練兵場の出口へと進んで行く。

「……今追いかけても聞いてはくれないでしょう」
「ああ、また後で謝らなきゃならんな」

 二人はその背を追う事はせず、かといってまた試合を始めるわけにもいかず、見送るのみであった。
 出て行ったのを確認してから、星は思い出したように秋斗に話しかけた。

「そういえば今日は牡丹が不機嫌になる日なのを忘れていた」
「なんで今日限定なんだ?」
「あなたはまだ会った事がありませんでしたな。我らとは別の客分にして義勇軍の方々が賊討伐から帰還予定なのですよ」
「へぇ……名だけは聞いてるけど、大将は劉備……さん、だっけ?」
「左様。白蓮殿の友にしてこの街の民にも大層人気の高い方だ。あなたも一度腰を据えて話してみるがよろしいかと」
「うーん。それはいいんだがなんで関靖が不機嫌になるのか分からん」

 まだ出会った事の無い英雄に会ってみたいと思いながらも、それがどう繋がるのか秋斗には分からず。
 苦笑を一つ零した星は、自分の会った事のある劉備を思い出しながら首を振った。

「生理的に受け付
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