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東方攻勢録
第十一話
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ごしていた。その日衣玖は天子から連絡を受け、天界を見渡せる丘の上まで呼ばれていたそうだ。しばらくそこで雑談をして、桃畑に向かう予定だった。
 それから数分後、静かに町なみを眺めていた二人は、急に異変を感じ取り始めた。普段平和な町並みから一つの煙が上がり始めたのだ。遊んでばかりの天界で火事が起こるのはめったにない。それから何本もの煙が上がり始めるのに時間はかからなかった。
 急いで町に向かってみたものの、時すでに遅しといった状況だった。ほとんどの天人は恐怖に怯え逃げ惑っている。もちろん戦おうなんてしない。そんな彼らを追い詰めるように、革命軍は町を制圧していった。
 もちろん衣玖と天子も戦ったものの、相手の能力持ちの数と力に圧倒され始める。さらに普段遊び呆けていた天人達も、生前の修行の成果が発揮されるわけがない。制圧されるまで時間はかからなかった。
「天人には、生前厳しい修行をして力を加えた者も大勢いました。もちろん、私が長い間生きていて、幻想郷で名を残したものも……ですが、彼らはここで住んでいくうちに……努力というものを忘れてしまいました。それがこの結果です」
 衣玖はそう言って拳を握りしめる。そんな彼女に俊司は何も声を返す事が出来なかった。
「……すいません。こんなことに巻き込んでしまって……」
「謝らないでください。あなた達は悪くないですし……俺もここに来ることを望んだようなものです。それに……ここを守ることを決めましたから」
 俊司はそう言いながらある物を取り出した。
「……それは?」
「俺の切り札です。衣玖さん……すいませんが、手伝ってもらってもいいですか?」
「は……はい……」
 俊司は中庭の壁の前に立つと、静かに持っていたカードを発動させた。

 決意『守ると決めた日』

「衣玖さん、この壁……壊してもらってもいいですか?」
「えっ? でも……」
「大丈夫ですから」
 衣玖は不振に思いながらも静かに手を構える。そのまま手のひらに電流をまとった弾を作り上げると、壁に向けて放とうと手のひらを壁に向ける。
 だが彼女の手から弾丸が離れることはなかった。
(……えっ!?)
 手のひらを壁に向けた瞬間彼女の腕は俊司に掴まれ、同時に彼女の弾には彼のナイフが突き刺さっている。ほんの一瞬の出来事だ。戦闘慣れしている衣玖でもそれを見破ることができなかった。
 しかしそれで彼の攻撃が終わるわけではない。
「なっ!?」
 ナイフの突き刺さった弾は徐々に効力を失い、しまいには消えてなくなっていた。まるでナイフに力を吸い取られたみたいだ。
(弾が消えるなんて……!?)
 困惑していた衣玖だったが、気がつくと地面に倒されていた。目の前には黒く光る銃口がこちらを向いている。もちろん倒されたなんて感覚はない。
「……何をした
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