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久遠の神話
第百五話 テューポーンその四
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「時間よ」
「はい」
 上城はまた一言で答えた。
「では」
「出すわ、あの方を」
「わかりました」
「それではね」
 スフィンクスがこう言うと共にだった。怪物は右の前足を上に掲げてそうしてだった。
 彼女の後ろに巨大な影が出た、それはギガンテス達よりもさらに巨大だった。その大きさは優に倍以上あった。
 全身に羽毛が生えている、そして巨大で筋肉質の逞しい両腕を持っている、肩は盛り上がらんばかりである。
 その両肩の間頭がある場所にだった、百の竜の首が生えそのそれぞれの目が赤く輝き口からは鋭い牙が見え炎や雷、毒に冷気それに強酸とだ。様々なものを息として吐いているのが見える。
 脚は腿の半ば辺りから蛇の下半身になっている、その両脚がとぐろを巻きしゅうしゅうと不気味な音を立てている。
 身体の周りに常に暴風が起き凄まじい音を立てている、この怪物こそが。
「テューポーンですね」
「そうよ」
 その通りだとだ、スフィンクスは上城に答えた。
「話した通りの姿だと思うわ」
「はい、確かに」
 まさにその通りだった、テューポーンの姿は神話にある通りだった。
「物凄い姿ですね」
「わかっているわね」
「凄いのはですね」
「姿だけではないわ」
「その力も」
「まさに最強の怪物よ」
 最強の荒ぶる神だ、ギリシア神話における。
「そう容易には相手に出来ない程よ」
「この怪物を倒して」
「貴方はこれまでよりも力を備えるのよ」
「最後の闘いの前に」
「つまり。この方を倒せないと」 
 スフィンクスもだ、これからの闘いを只の前提として話すのだった。
「最後の闘いにはね」
「生き残れないですね」
「魔の剣士の今の力は」
 加藤、彼のそれはというと。
「おそらく神話の頃からのどの剣士よりも」
「強いですか」
「純粋な強さだけでは神々よりも上ね」
「ゼウス神よりもですか」
「強さだけならね」
 それだけなら、というのだ。
「上になっているわ」
「テューポーンよりもですか」
「ただひたすら、闘いを繰り返してきただけに」
「あの人は強くなったんですね」
「そう、誰よりもね」
 そのテューポーン以上にというのだ。
「そうなったのよ」
「恐ろしいまでの強さになられたんですね」
「彼は純粋よ」
 スフィンクスは加藤をこう評しさえした。
「純粋に。闘いそして強さを手に入れていったわ」
「闘いをですか」
「それだけに強いのよ」
「そうなのですか」
「今の貴方では勝てないわ」
 今現在の上城ではだ、加藤にはというのだ。
「テューポーンと闘いその力を手に入れないと」
「そうしてですか」
「ようやく彼とね」
「闘える様になるのですね」
「互角にね。もう怪物はこれで最後よ」
「セレネー女神が出
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