第百五話 テューポーンその二
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「帰って来ないと許さないから」
「厳しいね、それ以外は駄目なんだ」
「当たり前よ、あの神様にも勝って」
そうして、というのだ。樹里は上城に必死の顔で話した。
「加藤さんにもね」
「あの人にも勝って」
「戦いを終わらせるのよね」
「そのつもりだよ」
「それならね」
今からのテューポーンとの闘いも、というのだ。
「勝ってもらわないと。いえ」
「いえ?」
「まだ加藤さんとの闘いがあるから」
だからだというのだ。
「テューポーンとの闘いはその前の通過点でしょ」
「それに過ぎないっていうんだね」
「そうなるわ」
「そう、だからね」
それでだというのだ。
「この闘いには勝ってもらって」
「それを通過して」
「そう、加藤さんともね」
勝ってもらわないといけないというのだ、それだけにだった。
「だからいいわね」
「テューポーンとの闘いは」
「勝って当然なのよ」
加藤との最後の闘いのことを考えると、というのだ。確かにその相手はかなり厄介なことではあるがそれでもだ。
「そうした闘いなのよ」
「物凄く強いけれど」
「そう、それでもね」
「通過すべき闘いだね」
「勝ってね」
そうして、というのだ。
「そうしてね」
「それじゃあ」
「お願いね、今日の闘いに勝ったら」
「そうしたら?」
「ラーメンご馳走するから」
にこりと笑ってだ、樹里はこう上城に言った。
「楽しみにしていてね」
「ラーメンなんだ」
「戦いが終わったらもっと凄いのご馳走するから」
「今はだね」
「ラーメンね」
それをご馳走するというのだ。
「楽しみにしていてね」
「それじゃあそのラーメンは」
「第二食堂のあれでいい?」
「あっ、あの豚骨特製ラーメンだね」
「そう、あれね」
八条学園高等部第二食堂の人気メニューだ。麺は四玉入っていてしかもその具は五枚のチャーシューにゆで卵、山盛りのもやしに葱、それに海老フライというかなり豪華なものだ。
「あれご馳走するから」
「いいね、僕あのラーメン大好きなんだ」
「ちょっと高いけれどね」
学校の食堂のメニューにしてはだ。
「それでもね」
「そう、美味しいしね」
「量も凄いからね」
「あれ一杯でね」
「お腹一杯になるからね」
麺が四玉だ、これは大きい。
「食べ残したら鍋を洗わされるけれど」
「完食すればいいから」
「じゃあ明日は」
「ええ、それ食べてね」
そうして、というのだ。
「いいわね」
「わかったよ、じゃあね」
「今日は勝つよ」
「そうしてね」
こう話してだ、そしてだった。
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